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第3回 高松国際ピアノコンクール第2位
アンドレイ・シチコ ピアノリサイタル 開催レポート
《東京公演》
2014年10月29日(水)19:00開演 カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 本日は、第3回高松国際ピアノコンクールで第2位を受賞されました新進気鋭のピアニスト、アンドレイ・シチコさんによるリサイタルでした。今注目のピアニストの演奏を聴こうと、平日の開催にも関わらず、たくさんの方が会場に足を運ばれました。

 前半はチャイコフスキーを中心に、ロシアものをずらりと並べたプログラム。ロシアを拠点にご活躍のシチコさんらしいものでした。後半ではショパンの作品が並び、ショパンが人気である日本でのリサイタルにはぴったりのプログラムでした。

 シチコさんの演奏の魅力は、とても立体的な音の響きにあります。前半に演奏されましたチャイコフスキーの《18の小品》や《ドゥムカ》では、特にシチコさんの綿密な音響創りが実を結んでいました。これらの作品では幾つもの声部が複雑に絡み合っている場面が多々見受けられますが、シチコさんが演奏されるとそれらの声部1つ1つが訴えかけてくるように聞こえます。〈感傷的なワルツ〉(《6つの小品》から)や〈スケルッツォ〉(《中級程度の12の小品》から)においても、伴奏する和音と歌い上げる旋律、鋭くリズムを刻む低音と軽やかに舞う高音の対比が素晴らしく、1曲ごとに客席からは感嘆の声がありました。後半に演奏されましたショパンの《スケルッツォ第2番》も、クラシックファンにはよく知られている楽曲かと思いますが、シチコさんの手にかかると埋まりがちな中音域の旋律もくっきりと聴こえてきて、新たな発見をされたお客様も多かったのではと思います。

 また、大変安定した指の運びもシチコさんの技術の高さを物語っていました。前半の最後には、ピアノ曲の最難関の1つと言われる、バラキレフの《イスラメイ》を演奏されましたが、シチコさんの演奏は全くその難しさを感じない、大変すっきりと整ったものであり、会場からは大きな拍手が沸き上がりました。また後半の最後は、ピアニストにとっては大きな課題であるショパンのエチュードを、何と6曲も連続で演奏されましたが、いずれもメリハリのあるとても端正な演奏でした。特に、作品25−6(嬰ト短調)のエチュードでは、3度のハーモニーを保ち続ける非常に難しいメロディーを、大変繊細な音で演奏され、素晴らしかったです。

 予定のプログラムが終わってからも拍手はなかなか鳴りやまず、今宵のアンコールは3曲もありました。シチコさんの美しいピアノの音を存分に味わうことのできた、大変素敵な時間でした。

(A. T.)

 

第3回高松国際ピアノコンクールにて第5位に入賞された、リード希亜奈さん   音楽ライターの藤巻暢子さん

 高松国際ピアノコンクール組織委員会からお祝い花を頂きました。

アンドレイ・シチコさんより日本ツアー終了後にコメントを頂きました。詳細はこちらから

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