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〜田中克己アンサンブルシリーズ 第4回〜
田中克己 ピアノトリオへの誘い2014 開催レポート
2014年
10月24日(金) 19:00開演 18:30開場
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 本日は、ピアニストの田中克己さんが中心にプログラムを組まれましたピアノ・トリオの演奏会でした。器楽奏者であれば誰もが憧れる演奏会レパートリーから知られざる名曲まで、様々な作品が並び、とても一晩での演奏会とは思えないボリューム満点のプログラムでした。チェロはボストンで研鑽を積まれた谷口賢記さん、ヴァイオリンは那須亜紀子さんが担当し、コンサート中にはそれぞれのトークも入りました。さらには、田中さんのご計画でお客様の中から当選された2名様に、素敵なワインのプレゼントが!出演された皆様による工夫が伺える進行で、コンサートは終始温かい雰囲気でした。

 最初はルーマニアの出身の作曲家エネスクによる《遠くのセレナード》。ピアノ・トリオの作品としては短めの楽曲ですが、ヴァイオリンとチェロのユニゾンで始まった旋律が枝分かれしてゆく様相が、大変お洒落な作品です。お三方は大変柔らかい音色で、この楽曲の雰囲気を美しく表現されていました。

 次はドイツ人の父親とイタリア人の母親を持った作曲家ヴォルフ=フェラーリによるピアノ・トリオ第1番。ヴォルフ=フェラーリは、近代のオペラ作曲家として知られていますが、このピアノ・トリオもまた、各々の楽器が自由に歌い上げる場面がたくさん入っています。お三方は、互いに精一杯ご自分の楽器の見せ場を表現しつつ、息の合ったアンサンブルをしていらっしゃいました。特に第2楽章での微細なテンポの揺れや、第3楽章での異なるリズムの絡み合いでは、お三方の絶妙な音楽創りが光りました。

 後半はまず、トゥリーナというスペインの作曲家による幻想曲《環》が披露されました。この作品各楽章に〈夜明け〉〈正午〉〈黄昏〉とタイトルがつき、時間の循環を表すものとなっています。第1楽章ではとても重厚な響きを、第2楽章ではややミステリアスで軽やかな音色を、第3楽章では穏やかに収束してゆく時間を楽しむことが出来て、ピアノ/ヴァイオリン/チェロによる様々な音楽の表情を楽しむことが出来ました。

 最後のラヴェルが作曲したピアノ・トリオ(イ短調)は、それぞれの楽器に高度な技術が求められる難曲であり、かつピアノ・トリオのための作品の中でも秀逸なものでもあります。今回ピアニストの田中さんがこの大作を演目にお選びになったということで、お三方の演奏にも大変熱がこもっていらっしゃいました。特に第4楽章のラヴェルらしい流れるような音型の表現と、その後のクライマックスの迫力は素晴らしく、会場は大きな拍手に包まれました。アンコールはクラシックのコンサートとしては珍しく沖縄の子守歌での締めくくりとなりました。田中さんはじめ出演された皆様のオリジナリティに富んだ、大変楽しいコンサートでした。

(A.T.)

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