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竹田理琴乃ピアノリサイタル 開催レポート
《2013年 日本音楽コンクール 入賞者シリーズ》
2014年9月26日(金) 開場18:30 開演19:00
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
「日本音楽コンクール」の上位入賞者を紹介するリサイタル・シリーズに今宵登場するのは、2013年第82回同コンクールの3位に入賞した、竹田理琴乃さんです。竹田さんは現在、ポーランド国立ショパン音楽大学2年に在学中。他にも数々のコンクールやオーディションで入賞を果たし、その将来に注目が集まっています。今宵のプログラムは竹田さんらしく、オール・ショパン。最初の曲として選んだのが、「バラード第2番 作品38」でした。心を込めて、丁寧に音を紡ぐ竹田さん。穏やかな部分ではまどろむように自然に、一変して嵐のように激しい部分では一心不乱に突き進むという、そのコントラストが素晴らしかったです。
続く「ノクターン第8番 変ニ長調 作品27−2」は、素直さ、瑞々しさが印象的でした。
前半の最後を飾るのは、「『ドン・ジョヴァンニ』の“お手をどうぞ”の主題による変奏曲 変ロ長調 作品2」。モーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』の中で歌われる有名な二重唱“お手をどうぞ”が、見事なまでにショパン仕立てとなった変奏曲です。村娘を誘惑するちょっぴり艶っぽく明るいメロディーに、ショパンならでは繊細な装飾音、多彩な和音の響き。竹田さんの弾く装飾音はとても細やかで美しく、自然なテクニックが際立っていました。
後半は「ソナタ第2番 作品35『葬送』」と、大曲からのスタートです。不穏な気持ちを心の底に秘めながら、強い心で突き進んでいく第1楽章。竹田さんの澱みのない高度なテクニックに驚きました。若々しさに満ちた第2楽章。永遠の静けさと安らぎの第3楽章、葬送行進曲。第4楽章では不気味な風が、うねりながらも猛烈な勢いで吹き抜けていきました。全楽章、長丁場を通しての緊迫感。素晴らしかったです。
そして最後の曲「スケルツォ第4番 変ホ長調 作品54」は、明るくどこかユーモラスな味わいが魅力。様々な色合いの急速なパッセージが、絶妙な緩急で奏され、豪華なクライマックスとなりました。
アンコールは、「エチュード作品10−4」。これ以上は無理、というくらいの最速のテンポでありながら、美しい。ショパンならではの繊細さが見事に表れていました。
このショパンにさらに磨きがかかったら、一体どんな演奏になるのでしょう。加えて、その他の作曲家のレパートリーは? 前途が楽しみなピアニストです。
(H.A.)
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