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林 秀光 記念コンサート vol.2 開催レポート
~Homage&Gratitude~
2014年8月28日(木) 19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
本日夜は、故林秀光先生が指導されていたピアニスト3名によるコンサートでした。いずれの方も、桐朋学園を経て国内外で活躍されていらっしゃり、プログラムも大変豪華なものでした。最初にご登場されました中西るみ子さんは、ハイドンとドビュッシーというとてもコントラストのある演目で、ご自分の培ってきた色々な音楽の引き出しを見せてくださいました。先に演奏されましたハイドンのハ長調のソナタは、明快な音色がとても魅力的でした。そして第2楽章では、温かい歌心も見せてくださいました。対するドビュッシーの前奏曲では、<デルフィの舞姫たち><亜麻色の髪の乙女>ではとても幻想的な音色を、<ヴィーノの門><風変りなラヴィーヌ将軍><アナカプリの丘>では、各曲の独特なリズム感を際立たせていらっしゃいました。色々な曲調が楽しめる、とても充実したプログラムでした。
次にご登場されましたフランク響子さんは、シューマンの《謝肉祭》を演奏されました。この組曲は、シューマンが昔ながらの仮面劇のキャラクターや自分の他の作品に登場する人物、自分に近しい人物や土地の名前を織り込んだ、大変ユニークな作品ですが、同時にかなりの技術や表現力が要求されます。フランクさんは、素早い指の動きと勢いのあるタッチで、この20曲も続く組曲を巧みにまとめていらっしゃいました。特にフィナーレの華やかさは圧巻で、会場からも感嘆の声がありました。
最後に演奏されました小川英子さんは、多くのピアニストにとって憧れであると同時に難曲であるリストのピアノ・ソナタロ短調を披露されました。この作品は30分以上もある単一楽章で、その中で色々な音楽要素が現れますが、小川さんはその1つ1つを丁寧に表現されていました。技巧的な部分が目立つ第一部と第三部はもちろんのこと、一度音楽が静まる第二部も美しく表現されていました。
本日演奏されたお三方に共通していたのは、ピアノという楽器がもつ様々な表現の引き出しを存分に生かそうという姿勢があったことだと思います。盛りだくさんのプログラムとそれぞれのピアニストさんの音色で、ピアノの面白さを存分に味わうことのできた、実り多いコンサートでした。
(A. T.)
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