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有森博&長瀬賢弘ピアノデュオシリーズ 開催レポート
ロシア秘選集 Vol.2 「縁 ・ ENISHI」 〜ロシア5人組〜
2014年7月31日(木) 19:00開演
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 ロシア音楽のスペシャリスト、有森博さんと長瀬賢弘さんによる人気のピアノデュオシリーズ「ロシア秘選集」第二弾です。どこからか掘り出されてきたいわくありげな名曲。それが二人の手にかかると、みるみるうちにまばゆい光を放ち……!〔満員御礼〕となった会場は、演奏の前からワクワク感に包まれていました。

 今回テーマは「縁・ENISHI」〜ロシア5人組〜。1860年代を中心に、ロシアの文化、民衆の生活に根ざした音楽を目指して活動した、バラキレフ、キュイ、ムソルグスキー、リムスキー=コルサコフ、ボロディンの登場です。

 有森さんと長瀬さんが、ニコニコしながらステージに現れました。このお二人は師弟関係でもあるのですが、いわば音楽の同志です。

 ピアノを弾き始めたら、ピアニスト対ピアニスト。真剣勝負の始まりです。

 プログラムの前半は連弾。プリモ長瀬さん、セコンド有森さんで、バラキレフの「ヴォルガにて」と「4手ピアノのための組曲」です。「ヴォルガにて」でロマンティックな美しい歌が会場をしっとりと包み込み、「…組曲」で曲調の変化に合わせ、時に決然と小気味よく、時に心を込めて対話するように、音楽は進んでいきました。

 続いてはとてもユニークで、珍しい合作曲。ボロディン、キュイ、リャードフ、リムスキー=コルサコフによる合作:パラフレーズ集「変化のない主題による24の変奏曲と15の小品」という連弾曲です。ロシア5人組から3人、それにリャードフが加わって、4人で作ったという、高度な余興という感じでしょうか。

 「変化のない主題」というのは、皆さんご存知の「トトトの歌」。それをモチーフにして、4人で手分けをして、24の変奏曲と15の小品を作って、ずらっと並べたというものでした。その曲作りの卓越した技!

 まず曲の前半(プリモ有森さん、セコンド長瀬さん)は、様々なパターンの素晴らしい変奏曲が次から次へと出てきて、各作曲家が個性を出しながらも、全体的には大きなまとまりをみせていました。

 折り返し地点で短いプレリュードが優雅に弾かれ(ここだけソロ長瀬さん)、再び連弾に戻っての後半(プリモ長瀬さん、セコンド有森さんにチェンジ)、15の小品は、ポルカ、ギャロップ、メヌエット、タランテラ、ジーグ、フーガ、レクイエムなど。あの「トトトの歌」がここまで芸術的に変身するのかと、目を見張りました。この目まぐるしい曲の変化にしっかり対応して、その魅力を何倍にも引き出したお二人に脱帽です。

 プログラム後半は、ムソルグスキー(エミール・ナウモフ編曲)「展覧会の絵〜ピアノと管弦楽のためのパラフレーズ(2台ピアノ版)」です。あの大曲「展覧会の絵」にさらに詩的な要素が盛り込まれ、よりロマンティックに繊細に変身。大胆で圧倒的な展開に、会場からは大きな拍手がおくられました。

 アンコールは、ショスタコーヴィチの「陽気なマーチ」、ハチャトゥリャン「剣の舞」と心躍るロシアものの後、最後はバッハ「主よ人の望みの喜びよ」で穏やかに。

 凝りに凝ったプログラム構成に、素晴らしい演奏。第三弾はどんなサプライズが待っているのでしょうか!

(H.A.)

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