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第3回 高松国際ピアノコンクール出場ピアニストによる
ピアノ・ジョイント リサイタル 開催レポート
出演 : 池永 夏美、金子 淳、松尾 久美
《東京公演》
2014年7月28日(月) 19:00開演 18:30開場
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
高松国際ピアノコンクール出場ピアニストによるピアノ・ジョイントリサイタルがパウゼにて開催されました。池永夏美さん、金子淳さん、松尾久美さんの3人のいずれも気鋭の若手ピアニストたちが、カワイフルコンサートピアノSK-EXからどのような調べをそれぞれ紡ぎ出すのか、筆者もとても楽しみに出かけてきました。最初に演奏されたのは池永さんです。アルベニス:「イベリア組曲III」より “エル・アルバイシン”では、落ち着いたテンポ設定から情緒豊かに歌い上げられ、続くプロコフィエフ:バレエ「シンデレラ」より 6の小品 Op.102より “シンデレラと王子のワルツ”では、「夢の続き」のように優雅に奏でられました。ドビュッシー:「ピアノのために」もロマンティックで、作品の優美さが際立つ良演。
続く金子淳さんの演奏は、繊細なタッチとピアノの豊かな響きを引き出すダイナミックな情熱を兼ね備えた素晴らしいものでした。ラヴェルの「水の戯れ」も構成感、響き、いずれの面でも立体感がありましたし、タッチもラヴェルに相応しい上品さと快適さがありました。ブラームス:「パガニーニの主題による変奏曲 第2集」も大変情熱的でありながら、個々の変奏の妙味が浮き彫りにされる見事なもので、リスト:スペイン狂詩曲においては、デモーニッシュな熱情と華麗なピアニズムが見事にマッチしていました。
後半の松尾久美さんは、古典的な簡素な様式美と近代性と併せ持つとても素敵なプログラム。スカルラッティ:「ソナタホ短調 K.263」も、ともすれば機械的な練習曲のように響いてしまう小品をとてもエレガントにその魅力が引き出されていましたし、ラヴェル :「ソナチネ」では独特の懐古趣味が優美に表現されていました。フランク :「前奏曲、コラールとフーガ」においては対位法的な各声部の引き分けも見事に彫逐されていただけでなく、オルガン曲のような重厚な構成を持つ作品にピアノならでは豊かな彩りを与えていました。
一つのピアノからこれほどまでに異なる豊かな響きが引き出されるのか、ということを目の当たりにするような一夜。会場からは3人の素晴らしい演奏家に惜しみない拍手が贈られました。池永さん、金子さん、松尾さんという全く個性が異なる才能に溢れた若いピアニストがこれからどのように成熟されて行くのか、とても楽しみです。
(G.T.)
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