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前田史也&森谷莉紅ピアノジョイントリサイタル 開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.26 》
2014年6月11日(水) 18:30開場 19:00開演
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
〈東京音楽大学 表参道 サロンコンサート〉のVol.26は、前田史也さんと森谷莉紅さんのジョイントリサイタルです。東京音楽大学ピアノ演奏家コースの3年に在学中のお二人。フレッシュな演奏に、注目が集まります。リサイタルの前半は前田史也さん。まずはシューベルトの「楽興の時・作品94」より、第1番から第5番までが演奏されました。歯切れの良いテーマが印象的な第1番。シンプルで穏やかな第2番。素朴で軽やか、最も有名な第3番。のどかな音楽と決意を秘めた音楽との対比が見事な第4番。激しい音楽が疾走し、荘厳な様で終わる第5番。繊細に、丁寧に、シューベルトの音世界が紡がれていきました。
そして、ブラームスの「幻想曲集・作品116」。味わいのあるいぶし銀の選曲に、若きピアニストの個性を感じます。広音域を存分に使ったワイドな第1番。何度も立ち止まっては物思いに耽る第2番。激情と華麗な音楽との対比が素晴らしい第3番。揺らぐ心模様を繊細に描く第4番。謎めいたテーマの第5番。あたたかでしっとりとした第6番。威風堂々たるクライマックスの第7番。時に重厚に、時にこの上なく美しく、ブラームスならではの魅力が全開でした。
後半は森谷莉紅さん。ベートーヴェンの「ソナタ第4番・作品7」が最初の曲です。明るい音色で軽やかに演奏された第1楽章。強い決意と優美さを兼ね備えた第2楽章。軽妙にして雄大、至高の第3楽章。美し過ぎる妙なるメロディーと激しい中間部との対比が見事な第4楽章。ベートーヴェン初期ソナタの傑作が、確かなテクニックで溌剌と演奏されました。
続いて、リストの「ハンガリー狂詩曲 第12番」です。深い哀愁、甘く切ないメロディー、超絶技巧の豪華なクライマックス。安定感のあるテクニックが、リストの音楽に素晴らしくマッチしていました。
最後の曲は、ブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲・作品35」より第2集。パガニーニの有名な主題が、あらゆる技巧、あらゆるリズムを駆使しつつ、大胆に変奏されていきます。そのスケールの大きさと美しくロマンティックな音楽に、すっかり魅了されました。
アンコールは連弾で、ブラームスの「ワルツ 作品39」より、第1番から第4番までと、有名な第15番。プリモが森谷さんで、セコンドが前田さんです。ブラームスが大好きなお二人による、華麗なるワルツ。素朴さが魅力の第15番で突然テンポを遅めにしたことで空気がパッと変わり、その効果は絶妙でした。
これからのお二人の演奏がまた楽しみになりました。
(H.A.)
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