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中井恒仁&武田美和子 ピアノデュオシリーズ 開催レポート
ピアノデュオ世界旅行 Vol.7 〜東欧〜
2014年5月24日(土)17:00開演 16:30開場
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 

 本日のパウゼでは、中井恒仁&武田美和子ピアノデュオシリーズが開催されました。毎回好評を博しているお二人が誘う「世界旅行」。第七回となる今回は東欧諸国とのことで、満席の会場もとても華やかな雰囲気でした。

 最初にお二人が演奏されたのは連弾によるスメタナの『わが祖国』よりモルダウ。豊かに湧き出る水や、滔々とした河の流れ、時折垣間見える村の結婚式の祝祭。そうした豊かな自然と人間の営みが醸し出す情緒を伝え、情景を紡ぎ出す素晴らしい演奏でした。

 続くブラームスのハンガリー舞曲第4番と第5番とドヴォルザークのハンガリー舞曲(作品72より第2番ホ短調、第7番ハ短調、第8番ト短調)においても、郷愁を誘う東欧情緒がロマンティックに時にユーモラスに奏でられます。モルダウにも共通していましたが、武田さんの華やかな音楽性と中井さんの機知に富んだピアニズムは、相互に見せ場を披露しながらどちらが「主役」とは言えないほど呼吸がぴったりと合っており、何より雰囲気を創り出すものでした。(スラヴ系特有の情緒を豊かに引き出しながら非常に上品な仕上がりで、演奏の合間の作品についてのお二人のレクチャーも素晴らしかったです。)

 バルトークのミクロコスモスからの2台ピアノのための7つの作品においては一転して、民族的なリズムと現代的な響きの妙が聴かれました。とりわけ、第2番和音とトリルの練習では、お二人の重なり合うタッチが大変心地好く、民族的なものを素材としながら、イマジネーション豊かに音楽を織り上げるバルトークの高い音楽センスを堪能できました。

 後半はリストの2台のピアノのためのラコッツィ行進曲から始まりました。喜劇的かつデモーニッシュな一面も垣間見える有名なテーマですが、前半のスラヴ的な豊かな自然を感じさせる世界とは異なり、リストの華やかなピアニズムが情熱的に展開されました。

 続いてシューベルトのハンガリー風ディベルティメントより第三楽章。シューベルト連弾曲特有の(甘美なひと時への名残を忍ばせる)非常に息の長い楽曲を、お二人がとても楽しげに演奏されていたことが印象に残っています。

 コンサートの締めくくりはルトスワフスキ―のパガニーニの主題による変奏曲でした。これはもう本当に素晴らしいお二人ならではの高いテクニックと息の合ったアンサンブルによる名人芸。有名なテーマを軸にしつつ意外性を伴った耳に新しい響きが次々に繰り出される光景に、会場も驚きを隠せない様子でした。パガニーニ―の精神を現代的に甦らせた作曲者の手腕が十分に発揮された名演でした。

 鳴り止まない拍手に応えて演奏されたのはドヴォルザークの新世界より第二楽章の抜粋。のどかな東欧の田園風景を想いながら「新世界」から注がれるノスタルジックな調べが今夜の「音楽旅行」を美しく回想していました。

(G.T.)

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