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〜1910年代、大戦期を生きた音楽家たち〜
ストラヴィンスキー プーランク オーリック
2014年4月22日(火) 19:00開演 18:30開場
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 第一次世界大戦の最中、芸術の大変動期に、音楽家たちは類い稀な音楽を創出した――。題して、「1910年代、大戦期を生きた音楽家たち―ストラヴィンスキー、プーランク、オーリック」。「20世紀のフランス音楽」シリーズの第6回目となるコンサートです。出演は、フローラン・エオ(クラリネット)、ジャック・ゴーチェ(ピアノ)、鶴園紫磯子(ピアノ)、七島晶子(ヴァイオリン)、駒井ゆり子(ソプラノ)の5人。一見難しそうなテーマなのですが、この粒揃いの名手たちの手に掛かると、それは素晴らしく魅惑的な、大人の音楽の時間となったのでした。

 コンサートは、鶴園さんによるショート・レクチャーを挟みながら進行していきました。前半のテーマは、「1914年から18年までの凄惨な戦争の日々、音楽家はどう生きたのか? 何を考えたのか?という問い」。ストラヴィンスキーは1910年からパリに乗り込み、「春の祭典」などの衝撃的なバレエ音楽を発表して、当時の価値観をすっかり塗り替えてしまったといいます。そのような変動期に、生み出されていった音楽とは…?

 最初の曲は、プーランクの「4手のためのソナタ(1918)」。プリモが鶴園さん、セコンドがゴーチェさんです。第1楽章の破滅的な和音、第2楽章の素朴な民謡、第3楽章の風変わりなリズム。レクチャーでは、戦争に対する「抵抗」の精神、戦争の「不条理」そのものを表現することが、この時期のいくつかの重要な作品に反映している、ということが語られました。

 続いて、ストラヴィンスキーの「クラリネット・ソロのための3つの小品(1919)」と「3つの日本の抒情詩(1913)」という異なった2作品を、取り混ぜて演奏する斬新な試み。“響き合うものがある”というエオさんの閃きによるのだそうで、奏者はそのエオさんと、駒井さん、鶴園さん。「クラリネット・ソロ」の厳かな音色が心に染み込み、「日本の抒情詩」ではその心がしっとりと歌い上げられるという不思議な世界。確かに雰囲気がぴったりでした。

 前半最後の曲は、ストラヴィンスキーの「兵士の物語(1918)」。従来は7人の奏者+語り手+3人の演じ手(兵士、悪魔、王女)で小劇団風に演奏されるのですが、ここではトリオ仕立て(クラリネット+ヴァイオリン+ピアノ)に語りが加わるという内容でした。演奏はエオさん、七島さん、鶴園さん、語りは駒井さん。それはもう心底楽しめるお芝居であり、音楽でした。根底に戦争の「不条理」があることは忘れてはならないのですが…。

 後半は第一次大戦後の音楽から、オーリックの「4手のための5つのバガテル(1926)」。プリモが鶴園さん、セコンドがゴーチェさんです。レクチャーで「フランス6人組」の音楽について語られたのですが、まさにシンプルで明快、風刺が効いた感じもして、フランス的な音楽の粋な魅力を感じました。

 続いて、プーランク最晩年の、名曲中の名曲「クラリネット・ソナタ(1963)」。演奏はエオさんとゴーチェさんです。こんな自由な音楽があるのかとまず驚き、クラリネットの音の豊かさに驚きました。ビロードのような音、響き渡る深い低音…。それをしっかり受け止めるピアノの巧みの音楽。感動しました。

 そして、最後の曲。同じくプーランクの劇音楽「レオカディア(1940)」の、トリオ編曲版です。エオさん、七島さん、ゴーチェさんの演奏。ハッピーエンドのラブストーリーで、大人の恋の音楽。洒落たシャンソンあり、華やかなワルツあり、古きよきフランス映画を観たような満ち足りた気持ちになりました。

 学問的な雰囲気で始まり、思い切りロマンティックに終わった当夜のコンサート。素晴らしい演奏に、大きな拍手が送られました。

(H.A)

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