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東日本大震災 被災地植樹支援
チャリティーコンサート at カワイ表参道 開催レポート
2014年3月11日(火) 18:30開場 19:00開演
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
かけがえのない多くの命が失われた東日本大震災から、ちょうど3年が経った2014年3月11日。日本中が鎮魂の日となったこの日に、「東日本大震災 被災地植樹支援 チャリティーコンサート in カワイ表参道 vol.10」が開かれました。出演は3人のピアニスト、渡辺健二さん、草 冬香さん、菅原 望さんです。このチャリティーコンサートは、被災地の悲惨な現状を目の当たりにして、何かやらなければという強い思いの中、震災の起こった2011年の4月から6月にかけて、27人の一線級のピアニストが集結して9回にわたって行われました。あれから3年。その10回目が、今回行われたコンサートです。
コンサートを始める前に、カワイ音楽振興会の日下昌和専務理事の号令により、お亡くなりになった方々のご冥福を祈って、全員が起立しての黙祷が捧げられました。
日下氏は挨拶の中で、ここ最近、被災地・仙台に赴いた時に、“震災は終わっていない、何も解決してはいない”という悲痛な声を聞いた話をされました。「これからも続けていきます。ぜひご来場ください」と力強い決意の言葉。これから先何年もずっと被災地に心を寄せ、支援を続けていくこと。その重要さに改めて気付かされた、3年目でもありました。
そしてコンサートの始まり。最初は、菅原 望さんです。リストの「コンソレーション第1番・第2番」の美しい調べは、まさに祈り。そして、すべてを超えた愛のテーマが心を包み込むワーグナー=リストの「イゾルデの愛の死」。リストの「ハンガリー狂詩曲第8番」は哀愁のメロディーと底抜けの明るさのコントラストに胸躍らされました。
続いて登場したのは、草 冬香さんです。柔らかな月の光が夢の中のように幻想的な、ドビュッシーの「月の光」。バッハ=ブゾーニの「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータBWV.1004よりシャコンヌ」の心の叫び、静から動へと力強く進む壮大な音楽が圧巻でした。
ラストは、渡辺健二さん。東京芸術大学の理事である渡辺さんは、このチャリティーコンサートの実現を当初から支えてきた方でもあります。演奏前の挨拶の中で、「被災地の方達に寄り添う形で、この先何十年も思い続けていきたい」という真摯な言葉に、大きな感銘を受けました。祈りと救い、強い心で前進する、真っ直ぐなベートーヴェンのソナタ「月光」。スクリャービンの「左手のための夜想曲Op.9-2」では、切なく甘美なメロディーが心を包み込みました。リストの「エステ荘の噴水」は、天上の竪琴のように清らかな調べ。そしてラスト、同じくリストの「愛の夢・第3番」では、高らかに愛の心が歌い上げられました。
コンサートを終え、会場出口では3名の出演者が募金箱を手に、被災地植樹支援の募金を呼びかけました。そこには長蛇の列が。その日会場に詰めかけた多くの人々の、暖かな心が集まりました。
震災から3年。復興はまだまだこれから、被災地の人々の心の傷は深くなるばかりという重い現実を前に、音楽が真の底力を発揮するのはこれからだと、私は信じています。
(H.A.)
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