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松下 彩 ピアノリサイタル 開催レポート 
《 桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズ Vol.23 》
2014年
2月19日(水) 開場18:30 開演 19:00
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 〈桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズ〉のvol.23は、ドイツ在住の新進ピアニスト、松下 彩さんの登場です。松下さんは桐朋学園大学の研究科を卒業後、ドイツ国立ロストック音楽・演劇大学に在籍しながら、幅広い演奏活動と共に、同大学の非常勤伴奏講師としても活動しています。当夜のプログラムの曲目解説を自ら執筆。それぞれの楽曲に対する奏者ならではの深い思いが伝わってきて、その音楽をさらに印象深いものとしていました。

 冒頭は田中カレンの「クリスタリーヌ」。白く冷たく光る、クリスタルのような音質。その緊迫感と静寂感。松下さんは曲目解説に、[氷のようなクリスタルな音を彫刻するように演奏しなければならない]と書いています。クリスタルな音の彫像はついには砕け、飛び散り、奈落の底へ……緊迫感と静寂感を感じました。

 続いては、シューベルトの「ソナタ第16番イ短調」です。力強い決意とはかなく美しいメロディーとが交錯する第1楽章。明るく平穏な変奏曲に心温まる第2楽章。激しさとやるせなさ、優しさと軽やかさ、様々な表情が移ろう第3楽章。激しく劇的なクライマックスへと到達する第4楽章。松下さんの演奏は気負い過ぎることが全くなく、とにかく自然体。美しい音に魅せられました。

 後半の第1曲目は、ルイ・クープランの「拍子のない前奏曲・ニ短調」。松下さんは曲目解説で、すべての音符が全音符で書かれていて小節線がないこと、リズム・強弱などどのように弾くかはすべて演奏者に委ねられること等、きわめて独創的な楽曲であることを紹介していました。壮麗な礼拝堂を響き渡る、自由な前奏曲。なるほど、演奏者の自由な感覚で弾くというのは、ここまで音楽を生き生きとさせるものなのだと感心しました。

 最後は、ラヴェルの「クープランの墓」。プレリュード、フーガ、フォルラーヌ、リゴドン、メヌエット、トッカータと、古典的な様式をとりながらも斬新・大胆なこの名作を、松下さんは夢のように幻想的に、デリケートな感覚で表現。無理な誇張や押しつけを一切そぎ落とした、美しい素描画のように心の中に残りました。

 アンコールはショパンの「ノクターン・遺作」。優しさと温もりのノクターンが、心に染み渡ります。会場は大きな拍手で包まれました。

(H.A.)

 

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