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篠永紗也子&加藤礼菜ピアノジョイントリサイタル開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.25 》
2014年2月5日(水) 18:30開場 19:00開演
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
本日のパウゼでは、《東京音楽大学 表参道 サロンコンサートVol.25》「篠永紗也子&加藤礼菜ピアノジョイントリサイタル」が開催されました。開演前から若いお客様を中心に会場は大いに賑わっていました。プログラムの前半に演奏されたのは篠永紗也子さんです。青のドレスで登場され、美しく奏でられるモーツァルトの ピアノソナタ第10番ハ長調KV330。モーツァルトのパリ時代の作品でフランス様式を示していますが、篠永さんのクリアーなタッチはイタリアオペラのコロラトゥーラを連想させる鮮やかなものでした。
スクリャービン2つの詩曲作品32より第1番嬰ヘ長調においては神秘的なハーモニーが色彩感豊かに歌い上げられ、現代作曲家ヴァインのピアノソナタ第1番第1楽章へと続きます。スクリャービンの神秘的な雰囲気を引き継ぎつつ、激しく脈打つリズム、低音から突き上げるようなグリッサンドや肘で鍵盤を打つように奏でるクラスター奏法といった現代的なテクニックが繰り出される様子が大変ダイナミックでした。
締めくくりはシマノフスキの変奏曲変ロ長調作品3。祖国ポーランドの民族性や複雑なポリフォニー、華麗なピアニズムなど若きシマノフスキの情熱と才能がいかんなく発揮された作品ですが、篠永さんはこの作品の様々な魅力を高い集中力で一つのバラードを弾くように纏め上げていました。
後半に登場されたのは加藤礼菜さん。赤系のドレスでサロンの雰囲気ががらっと変わりました。ハイドンのアンダンテと変奏曲ヘ短調Hob.X VII:6では、特にこの作品の持つ叙情的な側面が引き立てられていたように思います。長短二つの主題による二重変奏曲ですが、加藤さんの演奏はしっとりとしたタッチが様々な情感を喚起させつつ、落ち着いたテンポと明快な構成感によってしなやかに演奏されていました。
ショパンのアンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調作品22ではその加藤さんのしなやかで優美なタッチが一層活かされます。過度に情熱的にならずに、しかも甘美に歌い上げられる手腕は見事でした。
リスト「ドン・ジョヴァンニ」の回想S.418は、モーツァルトの有名オペラのヒットナンバーがデモーニッシュなリストのピアニズムによって新たに息吹を吹き込まれて生まれた傑作です。しばしば大音響でおどろおどろしくなりがちなこの作品ですが、加藤さんはコントラストを明確にし、旋律がはっきり聴こえるように演奏されていました。磨かれたテクニックと豊かな音楽センスが光りました。
会場の拍手に応えてお二人で演奏されたアンコール曲はフォーレの子守唄。本日のお二人の演奏と活躍を祝福するように温もりある雰囲気に会場は包まれました。
(G.T.)
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