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藝大ピアノデュオプロジェクト vol.2 開催レポート
〜次世代の音楽界を担う、藝大ピアノ科若手教員の饗宴〜
2013年12月26日(木) 18:30開演(18:00開場)
会場:東京文化会館 小ホール
12月26日、東京藝術大学ピアノ科の若き講師陣による「藝大ピアノ・デュオ・プロジェクト」の第2回が上野の東京文化会館で開催されました。今回も期待にたがわず、実力派ピアニストたちの競演とバラエティに富んだプログラムを通じてピアノ・デュオの醍醐味を存分に味わえる、エキサイティングな演奏会となりました。トップバッターは草冬香さんと佐野隆哉さんで、リストの《「ドン・ジョヴァンニ」の回想》。モーツァルトのオペラに基づく自由なパラフレーズで、リストらしい技巧を凝らした大変華やかな作品です。ピアノ独奏版も有名ですが、2台のピアノがオペラの登場人物のように掛け合いをするさまは、まさにデュオならではの魅力でした(ちなみに、たまたまでしょうが、伊達男ドン・ジョヴァンニが村娘ツェルリーナを誘惑する二重唱の部分で、女性である草さんが前者、男性の佐野さんが後者のパートを担当されていたのも一興でした)。つづいては昨年の同プロジェクトでもペアを組まれていた有吉亮治さんと菅野雅紀さん。初めにシューベルトの連弾の名曲《幻想曲 ヘ短調 D.940》が寂寥感の漂うきわめて繊細な表情で奏でられ、続いて雰囲気をがらりと変えて、今年生誕100年を迎えたポーランドの現代作曲家ルトスワフスキによる《パガニーニの主題による変奏曲》が2台ピアノで切れ味よく演奏されました。新納洋介さんとその恩師でいらっしゃる白石光隆さんはブラームス《ハイドンの主題による変奏曲 作品56b》で重厚なアンサンブルを展開。壮麗なフィナーレは圧巻でした。
15分の休憩をはさんでいよいよ後半に入ります。竹内真紀さんと安田里沙さんが取り上げられたのはプーランクの《2台のピアノのためのソナタ》。響き渡る鋭く研ぎ澄まされた音色と現代的な感性が作品の独特の雰囲気にぴったりとマッチした、大変印象深い演奏でした。続く斎藤龍さんと佐々木崇さんのペアは、有名なサン=サーンスの《動物の謝肉祭》を2台ピアノ版で全曲演奏。美しいところはあくまでも美しく(〈水族館〉〈白鳥〉等)、ユーモアや風刺もまた徹底的(〈ピアニスト〉〈化石〉〈耳の長い登場人物〉等)で、その豊かな表現力からは、お二人が音楽を心から楽しんでいらっしゃる様子が生き生きと伝わってきました。プログラムのラストを飾るのは後藤友香理さん・冨士素子さんによるラフマニノフの《組曲 第2番 作品17》。「間違いなくこのジャンルの最高峰」(後藤さん・冨士さん)というこのダイナミックな作品を、息の合った端正な演奏で披露してくださいました。
プログラムの終了後には全出演者がステージに再登場し、盛大な拍手で迎えられました。コンサートはこれで終演と思いきや、全員が二手に分かれて2台のピアノのもとに集合。アンコールとして総勢12名で(!)ドヴォルザーク《スラヴ舞曲集作品46》より第1番・第8番が演奏され、その豪快なパフォーマンスに客席は大いに沸いていました。
(N.J.)
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