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中桐 望&別府由佳ピアノデュオリサイタル 開催レポート
《東京藝術大学同声会コンサートシリーズ Vol.19》
2013年
12月24日(火) 18:30開場 19:00開演
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 

 12月24日クリスマスのイルミネーションが輝く中、中桐望さんと別府由佳さんのピアノデュオリサイタルが開催されました。お二方は、今年チェコで開催された第18回シューベルト国際ピアノデュオコンクールで見事一位を獲得されたばかり。会場には多くのお客様がいらしており、お二方への期待の高さがうかがわれました。リサイタルは、バラエティに富んだプログラムで構成され、お二方のトークを挟みながら和やかに進行されました。

 前半最初に演奏されたのは、アレンスキー組曲第2番<シルエット>Op.23です。お二方の演奏は、まるで一人で弾いているかと思うほど、音色や響きが一致していたことに大変驚きました。そればかりでなく、役者が舞台を演じるように、各曲の背景を鮮明に表現されておりました。

 続くシューベルト≪アンダンティーノ変奏曲≫Op.84-1では、宝石を散りばめたようにデリケートで輝きのある演奏を聴かせてくださり、ダウマーの詩「ポリドーラ」をもとに作曲されたブラームスワルツ集<愛の歌>Op.52aでは、配布された詩の対訳を読みながら、お二方による甘くロマンティックな演奏を楽しみました。

 前半最後は、スメタナ≪モルダウ≫です。この曲は、お二方がチェコのコンクールで演奏された際、聴衆に喜ばれた思い出深い曲とのことです。川の流れを鮮明に表現されたお二方の演奏を通して、川沿いを散歩しながら、移りゆく景色を楽しんでいるような気持になりました。

 後半は、ラフマニノフ≪交響的舞曲≫Op.45で始まりました。ロシアの自然が生み出す空気感や、民俗的なリズム感、華やかな技巧など、ラフマニノフならではの美しさが凝縮された演奏を披露してくださいました。

 リサイタル最後の曲目は、アルチュニアン=ババジャニアン≪アルメニア狂詩曲≫です。楽曲前半の、異国的な旋律をまるで民謡を聴いているように伸びやかに弾かれ、後半では民俗的な荒々しさを感じられる白熱した演奏を展開され、客席を沸かせました。

 アンコールは、プーランク≪シテール島への船出≫と、クリスマス・イヴということもありJ.S.バッハ=ヘス≪主よ、人の望みの喜びよ≫を演奏してくださり、非常に充実したリサイタルとなりました。

(K.S)

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