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後藤育慧 ピアノリサイタル 開催レポート
〜音に託されたメッセージ〜
2013年11月15日(金) 18:30開場 19:00開演
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
11月15日、演奏・教育・研究と多岐にわたる活動に精力的に取り組まれている、後藤育慧先生のピアノリサイタルが開催されました。今年の3月、カワイの公開講座「指導者の効果的な言葉かけ〜心理の視点から言葉によるコミュニケーションを学ぶ〜」にて、心理カウンセリングの視点を取り入れた大変興味深いお話を聞かせてくださった後藤先生。今夜は「ピアニスト」として、一段と華やかな装いでステージに登場です。会場には大勢のお客様が駆けつけ、和やかな雰囲気の中、演奏が始まりました。プログラムの最初はショパンの小品(《夜想曲 作品15-1》、《マズルカ 作品17-4、作品24-3、作品41-2》《即興曲 作品29》)、自然なルバートのかかったしなやかな歌いまわしや、透明感のあるきめ細やかなタッチが印象的でした。重厚なブラームスの《主題と変奏 ニ短調》に続いて取り上げられたのはシベリウスの佳品《10のバガテル 作品34》。後半におかれたシューマンの《謝肉祭 作品9》との関連もあってのご選曲とのことです。優しさや茶目っ気、抒情性など、様々な表情を湛えたそれぞれの小品を、後藤さんは詩情豊かに奏でられていました。
休憩後はいよいよ本日のメインともいえる《謝肉祭》です。ASCHの4つの文字をモティーフ(ドイツ音名の〈A-Es-C-H〉、〈As-C-H〉)とした一種の変奏曲で、様々なキャラクターが生き生きと描きだされる楽しい作品ですが、中でもシューマンという人物の夢想的な側面を象徴する〈オイゼビウス〉では、後藤さんのロマンティックな感性がとりわけ魅力的に引きだされているように思われました。
予告されたプログラムの終了後、満面の笑みで再びステージに現れた後藤さん。ショパンのワルツ、ベートーヴェンの悲愴ソナタの第2楽章、そしてシューマンのトロイメライと、たっぷり3曲のアンコールを披露してくださいました。最後には、先日の台風で被災されたフィリピンの方への募金の呼びかけも。「音に託されたメッセージ」とのタイトルの通り、後藤さんの音楽への深い愛情と優しいお人柄がにじみ出る、心温まるコンサートとなりました。
(N.J.)
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