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 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2013年 > 白石照男と門下生によるピアノジョイントコンサートVol.2 > 開催レポート

白石照男と門下生による
ピアノジョイントコンサートVol.2開催レポート
2013年10月25日(金) 18:30開演( 18:00開場)
〜ハンディを乗り越え羽ばたこう!〜
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 秋も深まる10月25日、ハンディを抱える方へのピアノ指導にご尽力されている白石照男先生と、門下生でいらっしゃる竹田史明さんと中西良輔さんのジョイントコンサートがパウゼにて開催されました。会場には、昨年と同様にたくさんのお客様がいらしておりました。

 前半は、門下生お二方による演奏です。お二方ともに大きなハンディを抱えておられますが、そのことを全く感じさせないほど、独自のアプローチで楽曲を丁寧に解釈されており、非常に説得力のある完成度の高い演奏でした。

 最初に演奏されたのは、竹田さんです。今回は、モーツァルト≪幻想曲 ニ短調(未完)≫K.397 , K6. 385g、シューベルト≪即興曲集≫D.935, Op.142より第3番 変ロ長調、リスト≪3つのノクターン≫S.541より第3番<愛の夢>をご披露くださいました。3曲ともに、歌手がピアノやオーケストラの伴奏に合わせ歌うように、伸びやかな演奏が印象的でした。例えば、モーツァルトでは、コロラトゥーラの軽やかで華のある歌声のような機敏さを、シューベルトでは、ドイツ・リートのように歌とピアノが一体となって詩の背景を表現するような表情の豊かさを、リストでは、温かい歌声で旋律をドラマティックに朗々と歌いあげるような滑らかさを感じ、それぞれの曲ごとに、違った分野の歌唱法が鮮明に表現されているようで、とても興味深く聴かせていただきました。

 続いて、中西さんの演奏です。今回は、メンデルスゾーン≪無言歌集≫から第1巻Op.19より<甘い思い出>、第3巻Op.38より<詩人の竪琴>、ドビュッシー≪2つのアラベスク≫より第1番 ホ長調、≪プレリュード第1集≫より<亜麻色の髪の乙女>、≪夢(夢想)≫をご披露くださいました。5曲ともに、清らかで柔らかい音色と、和声や空間に広がる響きのバランスが絶妙に表現されており、限りなく繊細で美しい演奏でした。とりわけ筆者の印象に残ったのは、ドビュッシーの≪アラベスク≫と≪夢≫です。≪アラベスク≫では、そよ風や草花の香り、小川のせせらぎなどを感じられ自然の中を歩いているような感覚を味わい、≪夢≫では、ふんわりと漂うような立体的な響きの美しさが大変心地よく思いました。

 後半は、白石先生の演奏で始まりました。今回は、グリーグ≪抒情小品集≫から、第6集Op.57より<過ぎ去った日々>、<ガーデ>、第7集Op.62より<感謝>、<家路>、第8集Op.65より<バラード調>、<トロールハウゲンの婚礼の日>、第10集より<ハリング>ご披露くださいました。白石先生の深みのある温かい演奏は、まるで短編小説を読んでいるよう。各曲の題材が現代を生きる私たちにも共感できるものばかりで、様々な感情を思い起こしながら曲の世界にじっくりと浸ることができました。

 最後は連弾で、ドビュッシー≪小組曲≫です。中西さんと白石先生による<小舟にて>と<行列>では、響きが美しく溶け合っているようなふんわりとした演奏を、竹田さんと白石先生による<メヌエット>と<バレエ>では、くっきりとした音色で生き生きとした演奏を聴かせてくださり、客席から盛大な拍手が贈られました。

 アンコールは竹田さんと中西さんによる連弾で、フォーレの組曲≪ドリー≫より<子守歌>を演奏してくださり、心温まる充実したコンサートとなりました。白石先生、竹田さん、中西さん、素晴らしい演奏をありがとうございました。

(K.S)

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