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中川真耶加&安並貴史ピアノジョイントリサイタル 開催レポート
《 東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.23 》
2013年10月9日(水) 18:30開場 19:00開演
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
〈東京音楽大学 表参道 サロンコンサート〉のVol.23は、ピアノ演奏家コース2年生に在学中の中川真耶加さんと、同コース4年生に在学中の安並貴史さんの、ジョイントリサイタルです。一つでも多くの場を踏みたい若い演奏家にとって、得難い経験となるこのコンサート。当夜の二人が、その瑞々しい感性でどのような音楽を奏でるのか楽しみです。前半は、中川真耶加さん。
スクリャービンの「6つの前奏曲・作品13」の冒頭は、静かに、静かにスタート。スクリャービンの初期の音楽に残っているショパンのようなロマンティックな面持ちが、丁寧に綴られていきます。そして佳境に入っていくにつれて、スクリャービンならではの個性と色彩が溢れ出てきました。
続いて、ショパンの「4つのマズルカ・作品41」。マズルカの特徴的なリズムが明るく素朴に奏でられつつも、時に哀しく、時に謎めいて…。難しい選曲に、若い感性でチャレンジです。
そしてラストは大曲、ショパンの「ソナタ第3番ロ短調・作品58」です。堂々たる第1楽章、丁寧に歩むように綴られた第2楽章、瑞々しい第3楽章、見事なテクニックをみせた第4楽章。思いの丈を込めた渾身の演奏に、会場からは大きな拍手が送られました。
後半は、安並貴史さん。
初めからいきなりの大曲、リストの「ソナタ・ロ短調」。ワイドな音響と情熱、躍動感、全身全霊をかけた演奏。若々しさ溢れるリストでした。
そして、ラフマニノフの「ソナタ第2番・変ロ短調・作品36(1931年改訂版)」より、第2楽章と第3楽章。甘く、映画音楽のような第2楽章。あのリストの後にどうなるのかと思いましたが、雰囲気がガラリと変わってとても良かったです。第3楽章は巨大なスケールの音楽。複雑に絡まる、重層的な音の群れ。ラフマニノフならではのロマンティックな旋律が溢れ出て、見事なクライマックスとなりました。その熱演に、会場からはまた大きな拍手が。
アンコールは連弾で、ガーシュウィンの「アイ・ガット・リズム変奏曲」(大宝博編曲)。プリモ中川さん、セコンド安並さんでした。ジャジーでご機嫌なサウンドに、会場はすっかりリラックス・ムードに。
若いお二人が今後キャリアを重ねていく中で、どのような成長を遂げ、花開いていくのか、楽しみに待ちたいと思いました。
(H.A.)
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