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石井園子 ピアノリサイタル 開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.26 》
2013年10月4日(金) 18:30開場 19:00開演
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 すっかり秋らしい軽やかな風が肌に心地よい季節となりました。表参道「パウゼ」も多くの演奏会で賑わっています。10月4日(金)、〈石井園子ピアノリサイタル〉(東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサートvol. 26)を聴きに行きました。石井園子さんは東京藝術大学大学院修士課程、および、国際アントンルービンシュタイン音楽院Meisterklasseを修了された、若手実力派のピアニストさんです。老若男女問わず、小さなお子様からご年配の方まで、多くのお客様にお越しいただき、会場は満員御礼となりました。

 少しばかり緊張した表情で舞台に登場した石井さん。しかし、石井さんの呼吸と共に音楽が始まるやいなや、楽譜上の音符に次々と息吹が吹き込まれていきます。今日の演奏会の幕開けとなったモーツァルト《ピアノ・ソナタ 第3番》KV281は、躍動感や生命感に加え、瑞々しさや清らかさも感じさせる、とても素晴らしい演奏でした。

 モーツァルトの後、石井さんが前半に演奏されたのは、バッハ《パルティータ 第2番》BWV826とショパン《舟歌》op. 60でした。バッハでもショパンでも、石井さんの演奏はそれぞれの音楽のもつキャラクターがよく引き出された演奏で、それは石井さんの魅力の1つであるように思いました。イタリア語で「器楽用の組曲」を意味する《パルティータ》では、複数の声部が独立して聞こえながらも、それらの声部が2つ、3つと組み合わさることで、和声(ハーモニー)や表情が生み出されるバッハの音楽の奥深さを再認識することができました。

 「舟歌」という標題の通り、ゴンドラが川にたゆたう様を連想させる冒頭左手のリズムから引き出されるように歌われる、右手の旋律。いかにもロマン派らしい美しさが際立った作品です。石井さんの演奏では、この曲で所々見え隠れする不安定さや重苦しさをも表現されており、苦しみや痛みをも包み込むような温かさやぬくもり、安らぎを感じました。

 短い曲の中に詩的な表現が凝縮されているブラームス《4つの小品》op. 119から始まった後半のプログラム中で、圧倒的な印象を与えた、シューベルト=リスト《魔王》。リストによってさらにピアニスティックに編曲された《魔王》は、絶え間なく続く緊迫感とともに、私たちの目の前で熱いドラマとして展開されました。石井さんの熱演に会場は大盛り上がり。惜しみない拍手が石井さんに送られました。

 今後のご活躍が楽しみなピアニストさんです。充実した一夜をありがとうございました。

(A・H)

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