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三宅麻美&N響メンバーによる
ベートーヴェン 室内楽シリーズ Vol.7(最終回)開催レポート
2013年10月3日(木) 19:00開演( 18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
出演:三宅麻美(ピアノ)、林智之(ヴァイオリン)、西山健一(チェロ)
ピアニストの三宅麻美さんとN響のメンバーが、ベートーヴェンの全ピアノ・トリオ、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタを演奏する室内楽シリーズもついに最終回。それぞれの分野における傑作が勢揃いするプログラムとなりました。三宅さんは演奏前の挨拶で、「このプログラムを弾きたくて、このシリーズを始めたのではないかというくらい…」とその熱い思いを話されました。「深淵、崇高なその世界のどこまでたどり着けるか、皆様とご一緒に体感できるか…」これはもう、期待大です。
最初の曲は、「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第10番ト長調」。ヴァイオリン演奏は、林智之さんです。第1楽章でのアンサンブルは、旧知の友が和気あいあいと語り合っているかのよう。第2楽章では一気に内省的な世界へ。心の内を突き詰めていきます。第3楽章は途切れがちなフレーズで不安気に始まるも、一転して心弾むほがらかな旋律に。第4楽章の変奏では、明るいメロディーが輝いて、二人の奏者のベートーヴェンへの思いが溢れ出るようでした。
続いての曲は、「チェロとピアノのためのソナタ第5番ニ長調」。チェロの演奏は、西山健一さんです。第1楽章はベートーヴェンならではの英雄的な音楽。勇壮なメロディーで、チェロの魅力全開です。第2楽章は、悲しみを絞り出すかのようなほの暗いメロディーと中間部の平穏なメロディーとのコントラストが見事。朗々と歌うチェロとそれを支えるピアノの素晴らしさ。第3楽章は軽やかなフーガで、美しいモチーフが絡み合い、融合し、爽快に曲を終えました。
そしてラストは極め付き、「ピアノ・トリオ第7番変ロ長調『大公』」。第1楽章の初めから、ヴァイオリンとチェロがたっぷりと響かせる豊かなハーモニー、引き締まったピアノ演奏に釘づけです。羽のように軽やかに始まった第2楽章は、暗く引きずるような半音階のモチーフを経て、華やかな音楽へ。第3楽章はまるでグランドオペラのアリアのように、ヴァイオリンとチェロが堂々と掛け合い、融合し、ピアノがそれを見事に支えました。第4楽章は快活でユーモラス、大胆な音楽で、最高潮のクライマックスとなりました。
すべてを聴き終えて、まるでオーケストラを聴いたような満足感でした。
(H.A.)
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