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シューベルティアーデTOHO2013 〜シューベルト再発見!〜
桐朋学園大学教授陣によるシューベルト作品を巡る6日間!
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
●9月6日(金)19:00〜
イブニングコンサート − ピアノ連弾・ソロ、フルート 開催レポート

 

 

 今月2日(月)から始まった〈シューベルティアーデ TOHO 2013〉(桐朋学園大学音楽学部主催)も早くも5日目。今日も補助椅子が出るほどの賑わいでした。今日の出演者もみなさん、桐朋学園大学音楽学部の教授・准教授をはじめとする先生方で、演奏への期待が高まります。わくわくしながら開演時間を待ちました。

 本日のイブニング・コンサートは、《幻想曲 へ短調》op. 103 D. 940(ピアノ連弾)で幕を開けました。演奏して下さったのは、吉村真代先生(primo)と川島伸達先生(secondo)です。“連弾”は家庭へのピアノの普及に伴って盛んになったジャンルで、多くの連弾作品では娯楽の要素が強いと言えます。しかし、この《幻想曲》では、個々人のテクニックと構成力、さらには優れたアンサンブル力が求められます。吉村先生と川島先生は、個々の持ち味を出しながらも、時には譲り合い、相手の音、自身の音、全体の響きに耳をすませながら演奏されており、先生方の演奏からはアンサンブルの大切さ、またその面白さや奥深さを感じました。

 次の曲目は、白尾彰先生(フルート)と高橋多佳子先生(ピアノ)による演奏で、シューベルト〈美しき水車小屋の娘〉の第18曲目「萎める花」の主題を引用した、《「萎める花」の主題による序奏と変奏曲》op. 160 D. 802でした。白尾先生のお話によると、ロマン派時代には、フルートのためのソロ作品や、フルートが用いられた室内楽作品がほとんど残されなかったために、この曲はフルート奏者にとって貴重なレパートリーだそうです。変奏が進むにつれ、1つの同じ主題からこんなにも多様なキャラクターを引き出した、シューベルトの発想の豊かさや作曲技法に驚くばかり。白尾先生と高橋先生お2人のフルートとピアノの絶妙なかけ合いや、音楽の躍動感を間近で楽しむことのできる演奏でした。

 休憩を挟んで登場されたのは、中井恒仁先生です。演奏して下さったのは、《幻想曲 ハ長調「さすらい人幻想曲」》op. 15 D. 760。ピアノを勉強している人たちの多くが、1度は弾いてみたいと憧れる作品です。幻想曲というタイトルをつけていながら、ソナタを連想させる構成になっていたり、ソナタの最終楽章に相当する4つ目の部分にフーガを用いていたり…シューベルトがベートーヴェンの「幻想曲のようなソナタ」を意識していたのではないか、という中井先生のお話、とても興味深く聞かせていただきました。演奏する中井先生からは圧倒的なパワーがみなぎり、長いはずのこの曲があっという間に終わりを迎えた時、私たち聴き手の前にはまるで大きな建造物がそびえ立つような感覚に。会場からは割れんばかりの大きな拍手が沸き起こりました。

(A・H)

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