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クロイツァー記念会 第37回例会
クロイツァー賞受賞者による演奏会 開催レポート
2013年7月5日(金) 開演:午後7時00分 (開場:午後6時30分)
会場:津田ホール
七月五日、津田ホールにてクロイツァー賞の受賞者による演奏会が催されました。本賞は故レオニード・クロイツァー教授の日本楽界に対する功績を記念するために制定されたもので、教授が生前に教鞭をとった東京芸術大学と国立音楽大学、そしてゆかりの深かった武蔵野音楽大学の各大学院ピアノ専攻修了生の中から特に優れた成績をおさめた学生に贈られます。平成24年度の受賞者は荒井茉里奈さんと中桐望さん、林京平さんです。はじめに演奏してくださったのは荒井さん。曲目はスクリャービン《2つの詩曲》Op. 32とプロコフィエフ《4つの小品》Op. 4より〈悪魔的暗示〉、リスト《ピアノ・ソナタ ロ短調》です。荒井さんの音楽は独特の世界観からできていて聴き手を強く引き込んでいくエネルギーをもっています。一つ一つの音の意味を丹念に読み取り、確信をもって自身の解釈を打ち出していく。そんな芸術家らしい自信に満ちあふれた演奏でした。
続いて、中桐さんによってショパン《24の前奏曲》が全曲通して演奏されました。ショパンはバッハの《平均律クラヴィーア曲集》のように24の長短調をすべて使った前奏曲集をつくりました。本日の演奏は各曲の個性をうまく掴んだ華のある見事な演奏で、耳を澄ませているとショパンの音楽の引き出しをたくさん覗いたような気分になりました。中桐さんの名演に客席からブラヴォーの声があがりました!
演奏会のラストを飾ったのは林さんです。プロコフィエフ《ピアノ・ソナタ 第8番 変ロ長調》Op. 84が演奏されました。安定感のある明晰な演奏にお客様も落ち着いて身を任せることができたはずです。3楽章を通してみても単一の楽章においても構成感の美しさが印象的で、林さんの音楽の読み方がよく伝わってくる演奏でした。
本日は個性の光る演奏を存分に楽しませていただきました。クロイツァー賞を受賞されたお三方の、今後のご活躍をこころよりお祈り申し上げます。
(A. N.)
左から、林 京平さん、中桐 望さん、荒井茉里奈さん、植田克己先生(クロイツァー記念会会長)
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