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三原未紗子ピアノリサイタル 開催レポート
《 桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズ Vol.21 》
2013年6月19日(水) 19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
本日は、桐朋学園の大学院で研鑽を積まれていらっしゃいます若手ピアニスト、三原未紗子さんによるピアノ・リサイタルでした。ご本人が書かれたプログラムノートからも、本日演奏される曲が三原さんにとって大変思い入れのあるものだということが伝わってきました。トークでは初めてのリサイタル、とのことでしたが、そんな様相は感じられない、大変風格のある演奏で客席を湧かせていらっしゃいました。とても深い呼吸から来る音楽と、柔和なタッチが素敵な三原さん、前半ではショパンの前奏曲とソナタの第3番を、しっとりとした音色で聴かせてくださいました。特に、ソナタの第3番の終楽章は、丁寧な和声の色付けと幅広い音の層で、大変美しく演奏されていました。
後半は、三原さんの柔らかなタッチがさらに活きるようなプログラムだったと思います。前半はドビュッシーの《前奏曲》第2巻から3曲。<ヒースの茂る荒野>と<オンディーヌ>は、繊細な自然の様相を、様々に想像を膨らませてくださるような演奏でした。一方の<風変りなラヴィーヌ将軍>では、操り人形のぎこちない動きを、コミカルに表現していらっしゃいました。
そして演奏会のクライマックスともなりましたのが、最後に演奏されましたラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番でした。このソナタは若かりしラフマニノフが書いた大作ですが、彼自身が後半生に改訂を行っています。よってこの作品には様々な版がありますが、本日の三原さんは改訂版を選んでいらっしゃいました。第1楽章では大きな海で波がうねるようなダイナミックな演奏、第2楽章はラフマニノならではの情熱的な旋律を美しく歌い上げた演奏、第3楽章は迫力と軽やかさのコントラストを効かせた華やかな演奏で、会場からは大きな拍手が挙がりました。
とてもラフマニノフがお好きな三原さん、アンコールもやはりラフマニノフの前奏曲で締めくくって、お客様への感謝の気持ちを伝えていらっしゃいました。本日素晴らしいリサイタル・デビューを飾られた三原さんの、今後のご活躍が大変楽しみです。
(A. T.)
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