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KSCO
中井恒仁&武田美和子 ピアノデュオシリーズ 開催レポート
〜ピアノデュオ世界旅行 Vol.6「フランス」〜
2013年5月25日(土) 17:00開演(16:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
5月25日(土)、表参道「パウゼ」では、《中井恒仁&武田美和子 ピアノデュオシリーズ ピアノデュオ世界旅行》が開催されました。シリーズの6回目を迎えた今回の旅先は、フランスでした。前半は今年没後50周年のプーランクの作品を中心としたプログラミングで、作曲の背景や曲の響きなど、作品に関する簡単なトークを交えながら、和やかな雰囲気の中で演奏会は進行しました。まずプーランクから、続けて《シテール島への船出》、《仮面舞踏会》、《4手のためのソナタ》(連弾)の3曲でした。当時、フランス人の楽園的な存在であったシテール島を題材とした《シテール島への船出》。日の光が反射した海面のきらめきや穏やかな波の揺れなど、具体的な風景をイメージしながら聴くことができました。《4手のためのソナタ》では東洋的なリズムや響きが特徴的で、3曲を通してプーランクのバリエーション豊富な音の響きを楽しむことができました。
続いてお2人が演奏して下さったのは、キリスト教の世界を表現した作品であるメシアン《アーメンの幻影》より第1曲〈創造のアーメン〉と第2曲〈星たちと環を持った惑星のアーメン〉でした。お客様は「パウゼ」に響き渡る音響に一心不乱に聞き入っておられ、個人的には宇宙の果てしない広がりや現世から超越した世界を垣間見たように感じました。前半の締めくくりは再びプーランクに戻り、《エレジー》でした。楽譜冒頭の言葉に従い、舞台には葉巻とコニャックが登場。身体に心地よい軽やかな響きが続く中にも、色彩感の多様な変化が表現された演奏でした。
休憩を挟んで、後半のプログラムはドビュッシー《白と黒》とデュカス《魔法使いの弟子》でした。いずれもお馴染みの曲です。お2人の息はぴったりで、これぞ阿吽の呼吸というのでしょうか。お2人の息遣い・表現が同じベクトルを向き始めると、2台のピアノが響き合い、ピアノデュオの醍醐味でもある厚みと深みのある響きで会場が満たされました。演奏後は、お客様からの拍手が鳴り止まず、アンコールへ。ミヨー《スカラムーシュ》より第3曲〈ブラジルの女〉でさらに演奏会は盛り上がり、終演となりました。
(A・H)
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