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ピアニスト 松本和将
“ 芸術的な演奏のため に ” ペダル・テクニック講座 開催レポート
―Part I ショパン編 (全5回シリーズ 第5回)―

〜エチュード全24曲 徹底解説!! ノクターン・ワルツ・マズルカ・ポロネーズ 〜
2013年9月19日(木)10:30〜12:30
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 

 毎回好評を博している松本和将先生の『ペダル・テクニック講座 ショパン編』。最終回のテーマは、ノクターン、マズルカ、ポロネーズです。今回とりあげてくださった曲目は、ノクターン第8番 変ニ長調 Op.27-2、 第13番 ハ短調 p.48-1、マズルカ 第5番 変ロ長調 Op.7-1、 第43番 ト短調 Op.67-2、英雄ポロネーズ Op.53の5曲です。また、休憩後に質問コーナーの時間が設けられておりました。

 まず、ノクターンについてです。ここでは、メロディーを美しく滑らかに歌わせるポイントとして「出したい音のイメージを持つこと」と「身体の余分な力を抜くこと」をご教示くださいました。たとえば、第8番では、フレーズの持って行き方を大きな流れでイメージし、音が伸びているときでも、心の中で歌い、息の流れや気持ちを止めないこと。繊細な音を出すためには、腕や身体の力を抜き、鍵盤に腕を置いて指先で細かくコントロールをすること。左手のバスでは、一音一音を聴かず分散和音としてとらえ響きの変化を感じることと音が跳躍しているところでは、腕を移動して打鍵するイメージで弾くこと。また、ペダルについては、第13番のコラール風の中間部(25小節目〜)を例に解説されました。和音のバランスを考えながら、少しだけ響きが無くなるように、ぼかすように静かに踏みかえ、音が細かく動くところは濁りを気にせずに旋律を繋げることを優先すると良いそうです。

 続いてマズルカです。今回扱われたのは、初期に作曲された作品とショパンが亡くなる年に作曲された作品。2曲とも対照的な性格をもっていますが、共通していることとして、前述の「音のイメージ」と「脱力」に加え、舞曲を演奏する上で大切なリズムの感じ方についてご指導くださいました。3拍子系のマズルカのほとんどは、3拍目に重みがくるとのことですが、円を描くようなイメージで、リズムの動きを体で感じることが大切です。ペダルは、1拍目と3拍目に踏み、曲の流れが軽いときは下まで踏まないことなど、マズルカ特有のリズムを出すための効果的な方法を伝授してくださいました。

 最後は、英雄ポロネーズについてです。この曲は、明確な形ではなくてもポロネーズのリズムが流れているため、リズムが平たんにならないようにすることが求められます。(例えば17小節目からの左手など)左手できちんとリズムを表現しながら右手を自由に歌わせるための練習として、左手は膝の上などで拍子をとりながら右手は円や波を描くなどといった方法を。また、81小節目から登場する左手のオクターヴの連続では、下の音はできるだけ4の指も使い、上下の音を分けて練習してから、両方がブレないように手首と腕のスナップを用いながら弾くこと。クレッシェンドするときは、おさえつけずに放り投げるようなイメージで弾くと楽にできると仰っておりました。この他にも、テクニカルな練習としてエチュードも活用するとより効果的とのことです。(例えば、オクターヴの練習としてOp.25-10など)

 質問コーナーでは、「強い音の出し方」と「左のペダルの使い方」についてお答えくださいました。

 強い音の出し方については、ショパンの場合、ffでも歌があるため、体の軸(お腹)はしっかりと保ちながら、肋骨から先(腕)を固めずしなやかにして、指先をシャープに動かすとよいそうです。また、英雄ポロネーズの最後に、「ショパンはスケールの大きい作曲家。ガツンとならないfでスケールの大きな演奏を。」と仰っていたことも印象的でした。

 左のペダル(ソフトペダル)については、タッチと同じく出したい音をイメージして用いると良いとのこと。今回は、マズルカ第5番の45小節目からの不思議な響きを出すための方法としてご教示されました。また、その日のピアノやホール、聴衆の入り具合によっても変わってくるとも述べられていました。

 ここでは、ほんの一部のご紹介となってしまいましたが、実演やご自身の体験談も交えながらの松本先生の本講座は、ショパンの魅力が余すところなく伝えられており、ショパンの音楽を解釈する上での大きな助けとなりました。素晴らしいレクチャーをありがとうございました。

(K.S)

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