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ピアニスト 松本和将
“ 芸術的な演奏のため に ” ペダル・テクニック講座 開催レポート
―Part I ショパン編 (全5回シリーズ 第4回)―

〜エチュード全24曲 徹底解説!! ノクターン・ワルツ・マズルカ・ポロネーズ 〜
2013年7月26日(金)10:30〜12:30
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 

 7月26日パウゼにて、ピアニスト松本和将先生をお迎えして「ペダル・テクニック講座“芸術的な演奏のために”」が開催されました。今回のテーマはショパンのノクターンとワルツ。親子連れから学生、専門家まで幅広い年齢層の大変多くのお客様が集われ、講座への関心の高さが窺われます。

 さて、松本先生はまず「芸術的な演奏のために」その最も基本となる前提について述べられました。先生によれば、「実地に音楽を聴き、感動すること」(とりわけコンサート会場に数多く足を運ぶこと!)が大切、ということでした。そして、今回の講座においてはその「聴く力」が作品解釈においてもテクニックの習得においても如何に重要かということを極めて具体的にきめ細かく示されました。そのほんの一部を松本先生の素晴らしい演奏とお話を想い出しながら以下に書き出してみたいと思います。

・有名なノクターン第2番の冒頭部分の解説においてはまずソプラノの6度上昇の出だしをどのように感じるか、という点について細かな解説がなされました。この6度は変ホ長調主和音の第三音(ドミソのミ)に落ち着く音型ですが、1度や5度ではなく3度に抜けて行く適度な飛翔感や解放感を感じることが重要ということです。これをどのように感じるかでバスの強弱やタイミング、ペダルの加減や手首の扱い、さらには上半身の運動までもが決定されてくるからです。

・ワルツの解説においてはまずワルツには大きく「(ウィンナワルツに代表される)リズムありき」と「(くるみ割り人形に代表される)メロディーありき」の二種があることに言及されました。ショパンのワルツはどちらかと言えば前者。(本人はウィンナワルツは嫌いだったそうですが。)とりわけ印象的だったのは第7番嬰ハ短調で、晩年の寂寥感がメロディーには溢れていながらこれがあくまでワルツという「踊り」の上に展開されることの意味を具体的な演奏方法に即しながら示してくださいました。

 松本先生のお話と演奏を伺っていると、音楽を演奏する上で単なる形式的な外見を超えた作品の核心部分を如何に具体的なイメージとして持つことが大切であるかに気付かされます。そして、そのためには先生が示してくださったように、旋律・和声・リズムについてそれぞれの意味を感じ聴き分けることのできる繊細な「耳」を養う必要があることがわかります。

 また、今回の講座は音楽を理解する奥深さと楽しさを知るという点において愛好家にとっても非常に啓発的な内容を多く含んでいました。「すべての人に音楽の素晴らしさを知って頂きたい」という松本先生の情熱に言葉と音で直に触れることのできる素晴らしい機会。先生の今後のご活躍、そして「ノクターンとマズルカ」が採り上げられる最終回(9月19日パウゼにて開催)が本当に楽しみです。

(G.T.)

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