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ピアニスト 松本和将
“ 芸術的な演奏のため に ” ペダル・テクニック講座 開催レポート
―Part I ショパン編 (全5回シリーズ 第3回)―

〜エチュード全24曲 徹底解説!! ノクターン・ワルツ・マズルカ・ポロネーズ 〜
2013年6月25日(火) 10:30〜12:30
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 本日は、気鋭のピアニストとして精力的な活動をされていらっしゃいます、松本和将先生による公開講座です。この講座シリーズの中でも本日までの3回は、ショパンの全部で24曲あるエチュードに焦点を当てたものです。その3回目でした本日は、作品25の第5番から12番がテーマ。ただ指が回るだけではなく、高い音楽性が求められるこれら一連のエチュードを、松本先生がどうお弾きになられるのか、先生の模範演奏も楽しみな講座です。

 今回の講座は、先生がご自分の練習を言葉で表したら、というレジュメ付のものでした。キーワードになったのは「イメージ」。ショパンのエチュードを弾きこなそうとするには、おそらく誰しもが最初はゆっくり音を拾ってゆく練習から入らなければならないかと思いますが、その時から既にちゃんと完成した音楽のイメージが頭に浮かんでいなければなりません。そして、常にイメージの演奏と現実の自分の演奏とを照らし合わせながら、出来る限り自分の音をそのイメージに近づけてゆくことが大切です。

 こうした音楽創り全般の話をされた後、松本先生は1つ1つの曲について、特に留意すべき点を説明されてゆきました。先生が実際に良くない例と良い例を弾き比べてくださると、先生の仰る身体や指の使い方が、一段とわかりやすくなります。

 もちろんこうした各曲のレクチャーも大変勉強になるものでしたが、さらに印象的だったのが、先生が講座の終盤に語られた作品25のエチュードの特徴についてです。作品25のエチュードは、作品10に比べて一段と物語性が強い、と先生は仰っていました。第1番での甘美な響きがだんだん陰を帯びたものとなってゆき、第7番でついに絶望へと堕ちてゆきます。第8番と第9番は夢想的な明るさがあるものの、やはり第10番・第11番と苦しみを湛えた楽曲が続きます。そして第12番もやはりうねるような短調の曲…ところが、この第12番にこそ、ハ長調の堂々たる終結が待ち構えており、最後の最後に物語は救われてゆくのです。そしてこの一連のエチュードは作品10番の頭、すなわちまたハ長調の楽曲へと戻ってゆきます。こうした作品全体の流れを見ていると、また新たなショパンのエチュードの面がたくさん見えてきます。

 こうして大変興味深かったショパンのエチュード講座は終了しましたが、松本先生の講座シリーズはまだまだ続きます。次は先生のどんなお話を聴くことが出来るのか、楽しみにしていたいと思います。

(A.T.)

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