トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース)> 公開講座シリーズ > 松本和将 公開講座 > 開催レポート

ピアニスト 松本和将
“ 芸術的な演奏のため に ” ペダル・テクニック講座 開催レポート
―Part I ショパン編 (全5回シリーズ 第2回)―

〜エチュード全24曲 徹底解説!! ノクターン・ワルツ・マズルカ・ポロネーズ 〜
2013年5月22日(木) 10:30〜12:30
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 本日は、7月11日にショパン・エチュード全曲リサイタルを控えていらっしゃる松本和将先生による公開講座が開催されました。タイトルは「ペダル・テクニック講座」とありましたが、実際のレクチャーの内容はペダルに限定した話題ではなく、ショパンのエチュードを美しく演奏するための技術全体におよびました。逆の言い方をしますと、ショパンのエチュードを弾きこなすためには、指先から身体全体までどこに技術不足があってもいけないということを実感するような、内容の濃いレクチャーでした。

 レクチャーが始まってまず聴講の方々の耳を惹きつけたのは、先生が一部模範演奏されたエチュード作品25-1通称「エオリアンハープ」の美しさでした。先生の音はふんわりぼやかした絵具のように広がりながらも1つ1つの音がくっきりしていて、繊細でありながら音楽を前へ前へと進める勢いがありました。この作品25-1、および本日レクチャーされた他7曲は、どうやったら先生のように弾けるのでしょうか?先生の仰ったことをまとめると、次のようになります。

 ・まずきちんとピアノの椅子に座ることが大切です。そして、適切な時に適切な身体の場所が動かせることが大切です。作品25-1のように似た音型が繰り返される楽曲では、腕を動かしたときに余計に身体が動いてしまうと、流れが止まってしまいます。逆に作品10-12「革命」の出だしの和音などでは、腕が腰のところからずっと繋がっているイメージで、身体全体を使う必要があります。

 ・例え作品10-12のような激しい曲であっても「とてもレガートで」という指示が書いてあるのがショパンの音楽であり、それくらいショパンを弾く上ではレガートが大切です。スタッカートとレガートが同時に表記されているところでは「スタッカートにレガートがついている」と考えるよりも「レガートにスタッカートがついている」と考える方がよい場合が多くなっています。

 ・ショパンのエチュードは、しばしば音が何層にも重なっています。一度声部ごとに分解して弾き、どの声部をどのような大きさ・曲想で演奏すれば全体のバランスが取れてかつ流れがよくなるかを、よく考える必要があります。

 ・手の形を楽曲に合わせてよく考えることが大切です。例えば、作品25-4のような、和音の跳躍で音を外してしまいがちな曲では、跳躍している間に次の和音の手の形を作っておくと上手くいきます。また、作品10-11のような音数の多いアルペジオでは、

下の音から手を突き上げるのではなく、回転軸が真ん中の音にあると思って弾くと綺麗に処理できます。

 ・ペダルは踏み替えのタイミングが大切です。フィンガーペダルと上手く併用しながら工夫してみましょう。また、ペダルを踏み重ねていったり、ペダルを徐々に軽く踏んでいったりすることで、曲に強弱を与えることも出来ます。

 その他にも先生は各曲に合わせて、トリルの弾き方、スフォルツァンドの入れ方、装飾の美しい弾き方などを、1曲1曲丁寧に演奏を交えながら解説されました。先生の演奏と音楽の創り方両方を学ぶことのできた、とても有意義な公開講座でした。先生の夏のリサイタルも、大変待ち遠しく思います。

(A. T. )

 ホーム(ニュース)> 公開講座シリーズ > 松本和将 公開講座 > 開催レポート