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シューベルト連弾チクルス Vol.II 開催レポート
2013年3月22日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 今晩のパウゼでは「シューベルト連弾チクルスVol.II」が開催されました。今回は四名の素晴らしいピアニストによる若き日の大作から晩年の名作までをカヴァーした豪華なプログラム。春の爽やかな風に誘われつつ筆者も楽しみに出かけました。

 さて、最初に演奏されたのはシューベルトが若干21歳の時に書き上げた大作<大ソナタ変ロ長調D617>です。プリモ(第一奏者)を務める白澤暁子さんが奏でる印象的なドミナントのハーモニーから始まり、それにセコンド(第二奏者)の草冬香さんが応えます。端正なお二人の演奏からは連弾の楽しさや輝かしさと共にすでに彼の晩年の作品を髣髴とさせるメラコリックな浮遊感がどこそことなく感じられました。

 続いて演奏されたのは<ハンガリー風ディヴィルティメントト短調D818>です。これも長大な作品ですが、ハンガリー風のもの悲しくも美しいメロディーをプリモの杉本安子さんがキラッと光る粒の揃った極めて繊細なタッチで演奏され、セコンドの小嶋隆文さんがユーモラスにリズムを刻むことでこの作品特有の世界観を見事に演出します。

 休憩を挟んで後半最初に演奏されたのは<自作主題による変奏曲変ロ長調D968A>です。プリモの草冬香さんの情景を一つ一つイメージされるような軽快な演奏も印象的でしたが、古典的なバランス感覚に富んだ白澤暁子さんのセコンドとのコンビネーションも抜群でした。続く<ロンドイ長調D951>はシューベルトの最後の交響曲について「天国的な長さ」と讃えたシューマンの有名な批評がそのまま当てはまりそうな最晩年の傑作ですが、お二人の演奏からは作品に対して決して無理を強いる事のないナチュラルな優しさ共に連弾の楽しさが本当に良く伝わってきました。

 プログラムのフィナーレを飾ったのは<デュオイ短調D947「人生の嵐」>です。後に付された副題が示す通り、劇的な表現から始まりシューベルトらしい美しい旋律が幻想曲風な回想の中で思う存分に楽しめる名作です。プリモの杉本安子さんとセコンドの草冬香さんの劇的で快活な演奏は重苦しくなりすぎず、音楽的な豊かさと楽しさが重視された素晴らしいものでした。

 アンコールは軍隊行進曲第二番。プリモを杉本安子さんセコンドを白澤暁子さんが務められ、春の訪れを告げるような楽しい楽隊の音楽で締めくくられました。サロンスタイルのパウゼに相応しいシューベルトの連弾曲の名作が纏めて拝聴できたとても貴重な機会でした。

(G.T.)

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