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池山洋子 ピアノリサイタル 開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.24 》
2013年3月8日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 本日の演奏会はピアニスト、池山洋子さんのリサイタルです。今夜もカワイ表参道コンサート・サロン「パウゼ」には、たくさんのお客様にお集りいただきました。客席には小さなお子様もちらほら。池山さんのような素敵な演奏家になることを夢みる未来のピアニストでしょうか。

 今日のプログラムのテーマは「ファンタジーへの誘い」。はじめに演奏されたのは『月光』という通称で親しまれているベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調》Op. 27-2です。「幻想曲風ソナタ」と記されたこの作品を池山さんはドラマティックに演奏なさっていました。特に美しかったのは第1楽章です。青白い月の光が差し込んだ情景が目に浮かぶような演奏で、どこか妖艶な印象も受けました。

 続いて、ブラームスの晩年の作品《7つの幻想曲》Op. 116が演奏されました。7曲ともに「ブラームス節」がよくきいた渋みのある楽曲です。今日、特に印象的だったのは第4曲でしょうか。切なくて、でも温もりが感じられる演奏にお客様も聞き惚れていらっしゃったように思います。

 休憩を挟んで、シューマンのロマンティシズムに溢れる《幻想曲 ハ長調》Op. 17が演奏されました。池山さんの解説によると、この作品は1835年に2年後に迫ったベートーヴェン没後10周年のために記念碑を建てる計画が発表された際に、シューマンがこれに賛同して記念の作品と考えて作曲したもので、当初は「フロレスタンとオイゼビウスによる大ソナタ ベートーヴェンの記念のささやかな寄付のために」というタイトルがついていました。そのため、曲中にはベートーヴェンの作品、たとえば連作歌曲集《遥かなる恋人に》からの一節が引用されています。今日の演奏を聴いて、池山さんの世界観に一番しっくりとくるのはシューマンの作品ではないかと感じました。それほど、この音楽の物語がうまく紡ぎ出されていました。

 最後にアンコールとして、シューベルト《4つの即興曲》Op. 142より〈第2番 変イ長調〉が演奏されました。その朗らかな音楽は、まるで春の麗らかな陽気のように会場をあたたかく包み込んでいました。

(A. N.)

 

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