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西原瑠一 ピアノリサイタル 開催レポート
《 桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズ Vol.20 》
2013年2月20日(水) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 今晩のパウゼでは≪桐朋学園表参道サロンコンサートシリーズVol.20≫西原瑠一さんのピアノリサイタルが開催されました。期待の新星が色合いを変えながら綺羅星のごとく姿を現すこのシリーズ。とりわけ西原さんは現在高校3年生と筆者が聴いた限りではシリーズ最年少。会場にも若いお客様が多く見られ、開演前から大いに沸いていました。

 さて、西原さんが最初に演奏されたのはベートーヴェンのピアノソナタ第27番ホ短調です。しなやかなタッチと質感の揃った鮮やかな音色がドイツの詩人の森の世界を豊かに演出します。続く『プロメテウスの創造物』の主題による15の変奏曲とフーガ(エロイカ変奏曲)においては、一転して才気と創造に対する底知れぬエネルギーが聴かれました。西原さんの演奏は作品の構成を十分に意識しつつも音楽の底に宿る深い精神性を重視したもので、表面的な華やかさやテクニックに溺れることのない堅実さと気概が頼もしく感じられました。

 後半においてはベートーヴェンの晩年の大作、ピアノソナタ第31番変イ長調が演奏されました。この作品はその深さと美しさにおいて音楽史に燦然と輝く一大金字塔ですが、西原さんは臆することなく実に伸び伸びと作品の世界を表現していました。とりわけ、終楽章に現れる「嘆きの歌」のモチーフは十二分に歌い上げられ、フーガによるクライマックスも圧巻でした。そして、プログラムを締めくくったのは、ブラームスによるヘンデルの主題による変奏曲とフーガ変ロ長調です。ベートーヴェンとは全く世界を異にするブラームス独自の詩情。西原さんは両者の違いと共に、通底する精神性を露わにする芯の通った演奏だったと言えるでしょう。

 ベートーヴェンとブラームスの大作によって構成されたプログラム。しかし、今夜はさらに驚くべきクライマックスが待ち受けていました。アンコールが何とラフマニノフのピアノソナタ第2番変ロ短調の第1楽章及びエチュード<音の絵>作品39より第9曲ニ長調だったからです。本来ならば、プログラムのメインに載せてもおかしくない演目。西原さんはこの難曲中の難曲を楽々と披露されました。演奏が終わるや否や、客席からはブラヴォーの声も。若きピアニストの堂々たるチャレンジに会場は惜しみない拍手を贈りました。

(G.T.)

 

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