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崎谷明弘 ピアノリサイタル 開催レポート
《2011年 日本音楽コンクール入賞者シリーズ 》
2013年2月9日(土) 17:00開演( 16:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 本日の演奏会は『2011年日本音楽コンクール入賞者シリーズ』の第3弾、崎谷明弘さんのピアノ・リサイタルです。今日もまた肌理細やかな音楽の世界が描き出されました。その閃きに満ちた演奏には色褪せる瞬間がないため、聴き手も新鮮な感覚を保ったまま音楽を味わうことができます。

 はじめに演奏されたドビュッシー《版画》は、それぞれが独特な空気をもつ〈塔〉〈グラナダの夕べ〉〈雨の庭〉の3曲から成る作品です。ドビュッシーの追求した響きの可能性が十二分に生かされた演奏で、これ以上鮮やかな世界に仕上げることはできない、と思わせるほど緻密に練られた立体感のある音楽でした。さらに大胆にピアノという楽器の可能性を追求したのが、ブラジルの現代作曲家、アルメイダ・プラドです。創意工夫が凝らされた連作集《ピアノのための星図 第2巻》はまさに奇想天外! 崎谷さんによる解説文を読んでから精確なイメージのもとに生み出される音楽を聴くと、より明瞭な映像が目に浮かぶようでした。

 休憩をはさんで、ベートーヴェン《ソナタ 第1番 ヘ短調》が演奏されました。今日のプログラムの中で聴くと端正な美しさがより際立ちます。崎谷さんの演奏の魅力は音色の多彩さに加えて「音の粒」の形と質感にあります。そして、その様々な形と質感、色彩をもった音の粒を無闇矢鱈と散りばめるのではなく、それらを整然と繋ぎ合わせていく技を目のあたりにすると、演奏家が魔法使いのような存在に思えてきます。プログラムを締め括ったのは、崎谷さんが主要レパートリーとして温めてきたリスト《ドン・ジョヴァンニの回想》。モーツァルトのオペラ作品をモティーフとしてリストがピアノ用に抜粋・再構築した豪華絢爛な作品ですが、希代のヴィルトゥオーソによる編曲というだけあって高度な演奏技術をも要します。原曲のもつ歌や物語性が花を咲かせたダイナミックな演奏に、客席からブラヴォーの声があがりました。

 最後に、昨夜突然、高熱に襲われたという崎谷さんのお話を聞いてとても驚きました。そんなコンディションの悪さを微塵も感じさせない演奏会だったからです。そして本日演奏された第1番を含む、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの全曲集が今年夏以降にディーピック・エンタテイメント社からCD・ダウンロード配信にてリリースされるとのこと! 今から発売日が待ち遠しいです。

(A. N.)

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