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ピアニスト 田崎悦子 in Joy of 室内楽シリーズ 第6夜 開催レポート

(Chamber music series Vol.6)
〜日本を代表するアーティストとヤング・アーティストのコラボレーション〜
公開リハーサルよりコンサートまで
2013年
2月8日(金) 7:00 P.M.〜 (6:30開場)
出演:田崎悦子(ピアノ)、岩崎 洸(チェロ)、
(ヤング・アーティスト):青木ゆり(ピアノ)、篠原悠那(ヴァイオリン)、桐原宗生(ヴァイオリン)、高宮城凌(ヴィオラ)

 

 今晩は国際的なピアニストしてご活躍の田崎悦子先生が、これから世界へ羽ばたこうという若いアーティストの方々と、経験豊かなベテランのアーティストとともに開催された、室内楽のコンサートでした。ヤング・アーティストとしては、いずれも桐朋学園で研鑽を積まれている青木ゆりさん(ピアノ)、篠原悠那(ヴァイオリン)さん、桐原宗生さん(ヴァイオリン)、本田佳奈さん(ヴィオラ)が演奏されました。そしてゲスト・アーティストとしては、田崎先生に同じくアメリカに留学され、国内外で活躍を重ねてきたチェリスト岩崎洸先生が演奏されました。各プログラムの前には、田崎先生や岩崎先生によるトークで、留学経験談や楽曲解説、練習中のエピソードなども入り、田崎先生が音楽の歓びを客席にも伝えようとされている熱意を感じました。

  

 プログラムの最初は、篠原さん・岩崎先生・青木さんによるベートーヴェンのピアノ三重奏。可愛らしいパッセージが多かったり、ヴァイオリンとチェロが一緒に演奏する部分が多かったりというこの作品は、篠原さんや青木さんの若々しく勢いのある音と、岩崎先生の落ち着いた音色が絡み合ってゆくのにぴったりでした。青木さんはこの最初のプログラムのみでのご登場ですが、軽やかに舞うようなピアノの音はとても印象に残りました。途中でなんと岩崎先生のチェロの弦が緩んでしまうというハプニングが起こりましたが、それでもお三方は堂々とそれぞれの音色を響かせていらっしゃいました。

  

 次は田崎先生と岩崎先生によるアンサンブルで、プログラムはショパンのチェロソナタでした。田崎先生ご自身が、二人で時には喧嘩もしながら(!)試行錯誤を重ねて創り上げたと語るこのソナタは、ショパンが残したピアノ独奏曲の傑作の数々を想い起させるような、情熱的で旋律の美しい曲です。岩崎先生がこのショパンを表情豊かに歌い始めると、岩崎先生のチェロの音色は、先ほどベートーヴェンを演奏されていた時の端正な様子とは一転し、今度は非常に情熱的で哀愁漂うものに変わりました。互いの音に吸い付いてゆくようなお二方のアンサンブルは、会場の空気をも音楽の渦に巻き込んでおり、演奏が終わった時にはふと魔法が解けるような印象さえ覚えました。

 

 最後は田崎先生と岩崎先生に、ヴァイオリンの篠原さん・桐原さん、そしてヴィオラの本田さんが加わったシューマンのピアノ五重奏。室内楽の中でも非常に有名で規模の大きいこの作品に、若いアーティスト達がそれぞれの曲への思い入れをぶつけ、ベテランのアーティスト達がそれに真剣に応える、片時も耳を離すことの出来ない熱演でした。とりわけ駆け上がるような第3楽章のスケルッツォから、音の層の厚い最終楽章にかけてのエネルギーの上昇はものすごく、5人の熱演には温かい拍手が送られました。音楽への熱意に会場中が盛り上がった、とても素敵な一夜でした。

(A. T.)

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