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栗原麻樹 ピアノリサイタル 開催レポート
〜パリからのメッセージ〜
2013年
1月12日(土) 16:30開場 17:00開演
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 本日は若くしてフランスに渡り、研鑽を積んできましたピアニスト栗原麻樹さんによる、リサイタルが開催されました。「パリからのメッセージ」と題されたこのコンサート、とりわけ後半にはドビュッシーやラヴェルといったフランスの名だたる作曲家達の名前が並びました。

 栗原さんの演奏で最も魅力的なのは、1台の楽器で演奏しているとは思えない、多彩な音色にあります。前半の最後に演奏されましたリストのハンガリー狂詩曲第12番は、とりわけその音色が活きたプログラムだったと思います。この楽曲には、荘重かつ哀愁的な部分と、快速ながらも情熱的な部分があり、演奏する人がそのコントラストを引き出す必要があります。栗原さんの音は、ある時は聴き手の心に迫ってくるような重みを感じさせる時もあれば、キラキラと聴き手の頭上を舞うような軽さを感じさせる時もあり、見事なものでした。後半のドビュッシー《映像》第1集や《喜びの島》の音からは、淡くも色彩に富んだ絵画のような、あるいは古めかしくも輝きを保つ遺跡のような印象も受けました。

 栗原さんの演奏のもう1つの魅力は、絶妙なアクセントの付け方や間の取り方です。ハイドンのソナタ第2楽章やラヴェルのソナチネ第2楽章といったテンポのゆっくりした曲でも、決して会場の緊張感を緩めてしまうことはありませんでした。こうした栗原さんのセンスは、特に最後のプログラムであったヒナステラのアルゼンチン舞曲集で輝きを増していました。舞曲のリズムを最大限に活かした演奏に、会場からは大きな拍手が贈られました。

 アンコールでも、ラヴェルの≪鏡≫から<道化師の朝の歌>と、スカルラッティのソナタホ長調と名曲が並びました。<道化師の朝の歌>では栗原さんのセンスのよい音楽の流れ創りを、スカルラッティのソナタでは色彩豊かな音色をもう一度楽しむことが出来、会場も歓びの空気に包まれました。美しい音楽に身体を躍らせた、素敵なコンサートのひと時でした。

(A.T.)

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