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坂本文香&香西真衣 ピアノジョイントリサイタル 開催レポート
東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.20
2012年
12月4日(火) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 今夜のパウゼでは<東京音楽大学表参道サロンコンサートVol.20>と題して坂本文香さんと香西真衣さんのピアノジョイントリサイタルが開催されました。まだ在学中のお二人にとって初めての公式リサイタルということで、多くのお客様が来場され会場は熱気で溢れていました。

 前半は坂本文香さんによるプログラム。まずハイドンのソナタニ長調Hob.XVI-42ですが、坂本さんはこのウィットに富んだ作品の魅力を明瞭なタッチと豊かな表情によって甦らせてくれました。特に終楽章は対位法的な右手と左手の掛け合いがあたかも鍵盤の上を二人の小さなピエロが駆け回る姿として目に浮かぶかのようで、晩年のハイドン特有の愛らしさと意外性がとても良く表現されていました。

 続くドビュッシーは前奏曲第二巻より「風変わりなラヴィーヌ将軍」と「月の光がふりそそぐテラス」の二曲が演奏されました。坂本さんの演奏はドビュッシーのコミカルでユーモラスな側面の表現に加えてその絶妙な間の取り方によって作品本来の色彩感や空間性を伝える見事なものでした。

 前半の最後を飾るのはプロコフィエフのソナタ第6番作品82「戦争ソナタ」です。複雑で技巧的な大作ですが、極めて明瞭に作品の斬新さや近代性が表現されていました。様々に駆使されるテクニックも「鍵盤を弾く楽しさ」に溢れた共感に満ちたもので、この作品の魅力がとてもよく伝わってきました。

 香西真衣さんによる後半においてはスカルラッティのハ長調のソナタK460/L.324の軽快な演奏の後、西村朗作曲オパール光のソナタによって一挙に独特の世界へと私たちを誘ってくれました。ペダルを十分に聴かせた和声の残響が宇宙的なスケール感と神秘的な色彩を感じさせる作品ですが、香西さんの演奏は集中力とバランス感覚を兼ね備えた大変優美なものでした。時折現れる断片的なフレーズも個々に印象的でありながら作品全体の雰囲気を壊さないように良く配慮されていました。

 最後の演目はラヴェルの「鏡」です。キラキラと輝く夜空の銀世界をイメージさせるような一層幻想的な雰囲気が香西さんの美しいピアノに乗せられて会場を包み込みます。香西さんの演奏は色彩や香りを創り出す優雅なものでとりわけ第3曲「洋上の小舟」や第5曲「鐘の谷」ではラヴェルがそれらの作品によって捉えていた抒情的な原風景が印象的に表現されていました。

 鳴り止まない拍手にお二人が再登場されると香西さんがマイクを取って本日来場されたお客様に感謝の言葉を述べられました。お二人にとってもこのパウゼでのコンサートは偉大な諸先輩方によって歴史が積み重ねられてきた「憧れのステージ」であったとのことで、多くの方々に支えられて今があること、そして今後のより一層の研鑽の誓いを謙虚に述べられる姿は頼もしくも清々しいものでした。アンコールは連弾によるピアソラのリベルタンゴ。情熱的な演奏と共にお二人の素敵な「デビューリサイタル」は幕となりました。

(G.T.)

 

 

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