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150e anniversaire de Claude Debussy 開催レポート
〜フランスで学んだ仲間とともに〜
2012年12月2日(日) 15:00開演( 14:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
今年はドビュッシー生誕150周年記念ということで、数々のドビュッシーをプログラムにしたコンサートを耳にします。しかしながら本日のコンサートは、その中でも3部構成による非常に豪華なプログラムとなりました。出演者全員がフランス留学経験をお持ちだということで、演奏の合間には出演者によるレッスン経験談なども混じりました。第1部はピアニストの島田彩乃さんによるソロ・コンサート。有名な《アラベスク》2曲に始まり、《前奏曲》第2巻から4曲、《ピアノのために》を演奏されました。色鮮やかで華やかな音が素敵な島田さん。冒頭のアラベスクから、噴水のように湧き上がる音楽でお客様を魅了していました。前奏曲では全く表情の違う4曲を演奏し、懐かしさを感じる自然風景からおどけた喜劇役者まで、様々な音色を弾き分けていました。そして最後は難曲である《ピアノのために》で華麗に第1部を締めくくりました。
第2部は先ほどの島田さんの先輩にあたるというピアニスト佐藤勝重さんによるステージ。想いをぐっとこらえたような奥行のある音と、独特の雰囲気が特徴の佐藤さんは、ドビュッシーのプログラムとしては珍しいノクターンで、演奏を始められました。《前奏曲》第1巻からは、ドビュッシーの世界観が楽しめる4曲をチョイス。極限まで細く美しく音を絞った<デルフィの舞姫たち>はとりわけ見事でした。最後の《喜びの島》では、華やかさの中にも色気のある演奏で、お客様を惹き込んでいらっしゃいました。
第3部は室内楽。まずは先ほどの島田さん、佐藤さんによる《小組曲》の連弾です。可愛らしくありながら風格もあるこの作品。お2人は柔和な音色とどこか懐かしい雰囲気で、この作品をまとめ上げていらっしゃいました。次はヴァイオリンの加藤えりなさんがご登場。加藤さん&島田さんのデュオでドビュッシーの最後の作品だと言われるヴァイオリン・ソナタの演奏です。加藤さんの羽の舞い上がるような活き活きとした音色は、島田さんの華やかな音色にとてもよく合っていました。第1楽章と第3楽章は躍動感をもって、そして第2楽章はスリリングに曲を展開していらっしゃいました。ラストはチェロの植木昭雄さんが登場し、植木さん&佐藤さんによるチェロ・ソナタです。植木さんの奥行のあるチェロの音色と佐藤さんの神秘的な雰囲気のピアノが、先ほどの加藤さん&島田さんとはまた違った印象のアンサンブルを成していました。荘重で古典的な雰囲気のある第1楽章とモダンな音やリズムを感じる第2楽章・第3楽章で構成されたこの曲を、お2人は持ち前の表現力で見事に仕上げていらっしゃいました。
こうしてこの非常に聴き応えのあるドビュッシー・プログラムは、大きな拍手の中終わりました。改めてドビュッシーの音楽の素晴らしさを感じることの出来た、素敵なコンサートでした。
(A. T.)
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