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◆ ドビュッシー・フェスティバル2012 〜ドビュッシー生誕150周年記念〜
コンサート5 「前奏曲集をめぐって」 開催レポート
10月25日(木) 開場 18:30 開演 19:00
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
『ドビュッシー・フェスティバル 2012』の第6日目。本日のコンサートでは「前奏曲集をめぐって」というテーマのもと、ドビュッシーの《前奏曲集》の第1巻と第2巻が全曲演奏されました。
第1巻を演奏してくださったのは多美智子さん。今日は緑色のエレガントなドレスをお召しになっています。有名な〈亜麻色の髪の乙女〉を含む《前奏曲集 第1巻》は全12曲から成り、〈野をわたる風〉や〈音と香りは夕暮れの大気に漂う〉といった詩的な題名が付けられた作品が集められています。ドビュッシーの音楽というと、曖昧で幻想的なイメージが先行しがちですが、今日の多さんの演奏からは厳格な印象をも強く受けました。とくに第7番〈西風の見たもの〉では、多さんの息遣いがよく客席に伝わってきて、その白熱した演奏には心を揺さぶられるものがありました。続けて演奏された〈亜麻色の髪の乙女〉はとても優美な作品で、今日の多さんの雰囲気によく合っていると思いました。また、第11番〈パックの踊り〉や第12番の〈ミンストレル〉の演奏も、作品のひょうきんな感じがうまく活かされていて素晴らしかったです。
休憩を挟んで、演奏会は後半にうつります。《前奏曲集 第2巻》を演奏してくださったのは青柳いづみこさんです。青柳さんはドビュッシー研究家として『ドビュッシー ――想念のエクトプラズム』『指先から感じるドビュッシー』など多くの書籍を執筆なさっています。ドビュッシーの音楽は文学と強い結びつきをもっているので、青柳さんのように文学にも造詣の深い演奏家との相性は抜群です。今日の演奏も各曲の世界観がよく引き出されていました。とくに〈妖精はよい踊り子〉〈ヒースの茂る荒れ地〉〈風変わりなラヴィーヌ将軍〉〈水の精〉〈花火〉が印象的で、ドビュッシーの鮮やかな音楽の色が余すところなく表現された見事な演奏でした。
演奏終了後、青柳さんから本日演奏された作品について解説があり、各曲のモティーフとなった絵などを見せてくださいました。とても興味深いお話に、お客様も大満足のご様子でした。
(A. N.)
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