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◆ ドビュッシー・フェスティバル2012 〜ドビュッシー生誕150周年記念〜
コンサート4 「2台ピアノ」 開催レポート
10月24日(水) 開場 18:30 開演 19:00
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
ドビュッシー・フェスティバル第4夜となる今宵のコンサートは、全て2台ピアノによるプログラムとなりました。パウゼいっぱいにピアノ2台による重厚な音が広がった、大変豪華なコンサートです。本日演奏されましたのは、同じ2台ピアノのペアでも各々違う特色を持った3組のピアニスト。ドビュッシーが遺した数々の名曲を、それぞれの持ち味で披露しました。
最初に登場されましたのは、ともに桐朋学園を卒業した後にベルリンで研鑽を積まれたという、新井博江さん&今井彩子さんのペアでした。女性同士によるデュオですが、非常に力強いタッチと華やかな音色が際立ちます。お二方が演奏されましたのは、《ピアノと管弦楽のための幻想曲》。もともとはオーケストラとピアノのための作品であったということで、音の層の厚い楽曲となっていますが、お二方の音色はこの作品にぴったりで、とても聴きごたえのある演奏でした。
次に登場されましたのは、艶やかな音色と粋な音楽創りが輝く川崎翔子さん&仁田原佑さんのペアです。最初に演奏されました、エキゾチックな雰囲気が特徴的な《リンダラハ》では、絶妙のリズム感でさっそくお客様を惹きつけていました。次の《舞曲》では、神秘的な和音が特徴的な第1曲<神聖な舞曲>と、ハープらしい艶やかな装飾が美しい第2曲<世俗的な舞曲>という、対照的な2曲の性格を巧みに表現されました。最後の《白と黒》ではお二方の高い技術と、また若手ペアならではのエネルギッシュな面も堪能することが出来ました。
最後に演奏されましたのは、長年ピアニストとして活躍されてきました、寺田悦子さん&渡辺規久雄さんのペアになります。お二方はこれまでも共演を重ねてきたとのことで、演奏も丹念に磨かれたアンサンブル力を感じるものでした。そして透き通るような高音、会場の空気を震わせるような低音が聴き手を魅了します。先に演奏されました《牧神の午後への前奏曲》では、まさにお二方の奏でる美しい音色が、牧神がパン・フルートを吹く情景を想起させました。そしてプログラム全体の最後でもあった交響詩《海》(アンドレ・カプレによる2台ピアノ版)では、あたかもピアノ2台が対話しているかのようにさえ聴こえるお二方のアンサンブルが、時に静かにうごめき、時に輝き、時に躍る海の様々な表情を見せてくれました。
3組そして6人のピアニストによる熱演に、終演後は割れるような拍手が起こりました。ドビュッシーの独特な世界観を存分に楽しむことのできた、大変内容の濃い素晴らしいコンサートでした。
(A. T. )
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