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◆ ドビュッシー・フェスティバル2012 〜ドビュッシー生誕150周年記念〜
コンサート3 「映像をめぐって」 開催レポート
10月23日(火)
開場 18:30 開演 19:00 
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」 

  

 

 10月23日(火)、〈ドビュッシー・フェスティバル2012〉第3夜のコンサートに出掛けました。今日のテーマは「映像をめぐって」。ドビュッシーの代表作の大部分を一夜で味わえる、実に贅沢なプログラムでした。今日も演奏に先立って、青柳いづみこさんから簡単なプレ・トークがありました。青柳さんがお話しして下さったような、作品の成立背景などを知ることで、曲の聴き方・聴こえ方が変わってきますね。

 さて、本日は4人のピアニストがドビュッシー作品を披露して下さいました。まず、高実希子さんが演奏されたのは、プレリュード、サラバンド、トッカータから成る《ピアノのために》です。特に際立っていたのは、プレリュードでの鮮やかな色彩感と、サラバンドで漂う高貴で優雅な雰囲気でした。

 続いて、宮崎翔太さんによる《仮面》と《喜びの島》でした。《仮面》というタイトルは、ドビュッシーが深い関心を抱いていたイタリア喜劇に由来しています。作品の随所に現れる独特の躍動感あるリズムからは、まさに道化師のひょうきんな動きや表情を連想することができました。それに加えて、作品を通して長調と短調を行き来する不安定さに、宮崎さんは陰の側面を捉え、作品に深みを与えていたように思います。《喜びの島》での超絶技巧も見事で、輝かしい音色が作品に花を添えていました。

 そして、谿博子さんは《スケッチブックより》と《版画》を聴かせて下さいました。バリ島のガムラン音楽に影響を受けた《版画》第1曲〈塔〉では、各音の余韻、またその余韻の重なりから生み出される響きの美しさに心を奪われました。演奏から、谿さんの音に対する繊細な感覚が感じられ、お客様は音の余韻はもちろんのこと、音が消えた後の曲の余韻にも浸っていらっしゃいました。

 休憩をはさんで後半のステージでは、堀江真理子さんが《忘れられた映像》、《映像》第1集、第2集を演奏して下さいました。これら“映像”に関する3作品では、ドビュッシー独自の音世界を身体全体で知ることができます。特に、《映像》第2集第2曲目〈そして月は廃寺に落ちる〉で表現されている静寂。月が沈むという無音の世界を、音を用いて表現しようとしたドビュッシーの発想にはただただ驚くばかりです。高音と低音の絶妙なバランスが保たれた堀江さんの演奏からは、静けさと神秘が浮かび上がってきました。

 今日も、ドビュッシーの世界を存分に楽しめた一夜となりました。

                                   (A・H)

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