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◆ ドビュッシー・フェスティバル2012 〜ドビュッシー生誕150周年記念〜
コンサート2 「詩人たちとのかかわり」 開催レポート
10月22日(月)
開場 18:30 開演 19:00 
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」 

  

  ドビュッシーフェスティバルの一環として行われました本日のコンサートは、「詩人たちとのかかわり」をテーマとしていました。よって、プログラムの中心は歌曲と朗読付の連弾。客席にはヴェルレーヌ、マラルメといった詩人達の詞が配られ、文学の薫り高いコンサートとなりました。なお、今回配布されました詩の邦訳は、土屋良二さんが今回のシリーズにあたって書き下ろされたとのことです。

 コンサートはまず、ドビュッシーと彼の作品に登場する詩人達に関する、青柳いづみこさんのプレトークで始まりました。トークはスライド付の大変充実したもので、ドビュッシーも通ったとされる文学カフェ「黒猫」の話題に始まり、各詩人のポートレートの紹介となりました。

 そしていよいよ演奏へ。前半は青柳いづみこさんと田部井剛さんによる連弾です。ピエール・ルイスの散文詩集『ビリティスの歌』に基づいた連弾曲集《6つの古代碑銘》は、青柳いづみこさんご本人による朗読とともに演奏されました。主人公の女性ビリティスが恋する少女から遊女となり、やがて詩人となって生涯を振り返るまでが、エキゾチックな雰囲気を出す5音音階を出だしに、音楽によって綿々と語られます。お二方の演奏は、各曲の特徴をよく捉えた、堅実なものでした。次のスコットランド行進曲はバクパイプをイメージした活き活きとした曲。こちらもお二方の一糸乱れぬアンサンブルが光りました。

 後半はパリでご活躍のソプラノ歌手浜田理恵さんと、ベテランのピアニスト井上二葉さんによる歌曲の演奏でした。歌、ピアノともに非常に風格のある演奏で、お客様は集中して耳を傾けていらっしゃいました。静寂でありながらも怪しい魅力を放つ夜を想わせる《雅な宴》第1集、先ほど登場したビリティスの少女時代を描いた《ビリティスの歌》、音による状況描写が興味深い《忘れられた小唄》、非常に夢幻的な《出現》と、ドビュッシーの歌曲の傑作達が並んだプログラムとなっています。いずれの演奏も各歌曲または歌曲集の独特の世界観を見事に表現したものでしたが、とりわけ印象的だったのは《ビリティスの歌》でしょうか。少女ビリティスの恋を歌った作品で、甘美であるとともに少女の興奮を反映しているかのような激しさを伴う楽曲ですが、浜田さんの迫力と繊細さを備えた声、そして豊かな表現力は、この楽曲に非常に合っていました。また井上さんの伴奏も浜田さんの声をしっかり受け止めた上で、やはり豊かな表現で応えていらっしゃいました。

 こうして素敵な演奏会の時間はあっという間に過ぎてゆきました。ドビュッシーの音楽とフランスの詩人達の美しい言葉、それら両方を味わうことの出来た、非常に贅沢な夜でした。

(A. T. )

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