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KMAP
久元祐子 ピアノ演奏法講座
『続々々・一歩上を目指すピアノ演奏法』(全5回シリーズ)

会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
第1回 2012年10月18日(木) 10:30〜12:30
ショパンの小品 開催レポート

 

 ピアノの指導において精力的な活動をされています久元祐子先生による公開講座シリーズ、本年度で名称も「続々々」となり、ロングランとなっております。そして本年度版の第1回の講座であった今日は、ショパンの小品の中からノクターンとワルツが取り上げられました。お話の内容はもちろんのこと、先生ご自身の柔らかく美しいピアノの音色が時折聴けるのも、この講座の醍醐味と言えるでしょう。

 前置きとして先生は、ショパンの好んだプレイエル社のピアノについて、また彼がしばしば演奏のために出入りしたサロンについて概観されました。プレイエル・ピアノには第2響板がついていて、現代のピアノのように音が直接的に飛んでこないこと、またすばやく次の音に移るためのエスケープメントという機能が現代のピアノよりも弱いために、指を最後まで上げないと次の音に進めなかったことから、ショパンのピアノの音というのは、現代のピアノが奏でる迫力とスピード感に満ちた音よりも、くぐもった繊細な音だったと考えられます。そしてまだ電灯のない時代のサロンに置かれた蝋燭の灯りは、彼の音にとても合っていたと考えられます。もちろん現代において、完全にショパンの楽器や音を真似ることは難しいのですが、彼の演奏している状況をイメージすることが大切です。

 そして先生は、有名な変ホ長調のノクターン作品9-2、華やかな中間部が印象的な嬰へ長調のノクターン作品15−2、そして人気のレパートリーである小犬のワルツについて、演奏上の留意点を細かくお話しされました。そのお話は楽譜の隅々までにおよぶ細かく丁寧なものでしたが、一貫しているのは

(1) 常に歌うことを意識しなければならない。旋律を口で歌ってみて、自然と間が空いたりテンポに緩急がついたりするところでは、ピアノで弾くときも慌てたり機械的にならない。

(2) 意識しないと見えない音をきちんと見なければならない。自然に目立つ主旋律だけではなく、その旋律に陰で彩を添えている和音や、半音階進行を丁寧に弾くことで、演奏に立体感が出る。

(3) 遊びの要素を忘れない。ふと調性がわからなくなるような単音進行や、即興的に聴こえる装飾ほど、ただ文字通りに音符を弾くのではなく、テンポの揺らぎ等を作らなければならない。

 ということでした。

 先生のお話は、音を水や宝石に例えながらの、具体的でわかりやすいものでした。今日の講座を聴いて、すぐにピアノに向かってみたくなった方も多いのではないでしょうか?次回はモーツァルトのトルコ行進曲付ソナタということで、今度はどんなお話が聴けるのだろうと楽しみです。

(A. T. )

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