トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2012年 > 日本ショパン協会パウゼシリーズ > 白川多紀 ピアノリサイタル > 開催レポート

日本ショパン協会 第260回例会
白川多紀 ピアノリサイタル 開催レポート
《日本ショパン協会パウゼシリーズ Vol.17》
2012年
10月12日(金) 19:00開演( 18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 秋も深まりゆく10月12日、日本ショパン協会主催のピアノリサイタルが表参道のコンサートサロン「パウゼ」で開催されました。今夜の出演者は白川多紀さん。桐朋学園大学研究科を修了され、ジュネーヴとパリで6年間の研鑽を積まれた若手ピアニストです。フォーレ・ドビュッシー・ラヴェル・ショパンと、フランスものを中心に構成されたプログラムをじっくりと味わう、充実の一夜となりました。

 午後7時を回り、真紅のドレスに身を包んだ白川さんがステージに登場。フォーレの《夜想曲第2番 作品33-2》がしっとりと演奏された後、ご本人から最初のご挨拶と曲目紹介がありました。素敵な笑顔と丁寧な語り口から、白川さんの誠実なお人柄が感じられました。

 続いて演奏されたドビュッシーの《映像第2集》では、細密画のようにこまやかなタッチの使い分けによって立体的な音響が生み出され、白川さんが音楽中のあらゆる要素に大切に耳を傾けていらっしゃる様子が伝わってきました。特に東洋から霊感を得て作曲されたとも言われる第2曲の〈そして月は廃寺に落ちる〉では、静謐で神秘的な雰囲気が印象に残りました。

 一方、次のショパンの《ソナタ第2番 作品35》では響きががらりと変化して、端正ながらもロマン派らしいドラマティックな表現が繰り広げられました。なかでも、有名な第3楽章(葬送行進曲)中間部の切々とした歌い回しや、「墓場に吹く風」とも形容される第4楽章では、白川さん持前の洗練された感性が光っていました。

 15分間の休憩を経て、後半はショパンの《2つのノクターン 作品55》とラヴェルの《夜のガスパール》です。〈オンディーヌ〉〈絞首台〉〈スカルボ〉、どれをとっても、この曲集の題材となったベルトランの3篇の詩の幻想的な情景がありありと浮かび上がってくるよう。隅々まで練り上げられた説得力のある表現とダイナミックな構成感はまさに圧巻でした。

 アンコールには、ドビュッシーの《前奏曲集第2巻》より〈オンディーヌ〉を。繊細で精密なサウンドの中に一抹の毒のようなものを感じさせるファンタジー溢れる演奏に、筆者もすっかり魅了されてしまいました。

真摯な演奏を通じて、その磨き抜かれた実力のほどを披露してくださった白川さん。音楽家として今後ますます大きく羽ばたいていかれることを確信させる、素晴らしいリサイタルでした。

(N.J.)

  

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2012年 > 日本ショパン協会パウゼシリーズ > 白川多紀 ピアノリサイタル > 開催レポート