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三宅麻美&N響メンバーによる
ベートーヴェン 室内楽シリーズ Vol.5 開催レポート
〜全ピアノ・トリオ、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ〜
2012年
10月3日(水) 19:00開演( 18:30開場)
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 本日のコンサートは『三宅麻美&N響メンバーによるベートーヴェン 室内楽シリーズ』の第5回目。ピアニスト、三宅麻美さんと、NHK交響楽団の団員である林智之さん(ヴァイオリン)と西山健一さん(チェロ)が共演しました。会場の「パウゼ」は客席と舞台の距離がとても近く、聴き手をもアンサンブルの中に引き込んでいくような親密感のあるホールです。プログラムにはもちろん、ベートーヴェンの作品が用意されました。

 はじめに、《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第6番 イ長調》Op. 30-1が演奏されました。この作品は全3楽章から成るソナタです。演奏にはお二人の聡明さがよく表れていました。とくに聞き応えがあったのは、変奏形式をとる第3楽章。冒頭で提示されたテーマがまずピアノで、そしてヴァイオリンに変奏されて、コーダへ至るまで様々なヴァリエーションを見せる様子を躍動感にあふれる演奏で聴くことができました。

 続いて、《チェロとピアノのためのソナタ 第3番 イ長調》Op. 69です。先に演奏されたソナタと同じイ長調が主調となっている作品ですが、全体の雰囲気はまるで違います。西山さんによると、このソナタは、5つあるチェロ・ソナタの中でも名曲として紹介されることが多く、その秘訣は「分かりやすさ」にあるといいます。確かにテーマを追いながら聴くと、それが再現される度に愛着が増していくような。チェロの渋みも相俟って、とても親しみやすい作品だとおもいました。

 休憩をはさんで演奏された《ピアノ三重奏曲 第5番 ニ長調》Op. 70-1は、まさに名演でした。とくに印象深かったのは、この作品が「幽霊」と呼ばれる所以である第2楽章。この音楽の観念的な世界は、思わず息を呑むほどの美しさでした。しばらくの間、現実の時間を忘れ去っていたような気がします。

 アンコールには、《七重奏曲》Op. 20がピアノ三重奏用に編曲された作品(Op. 38)の第5楽章が演奏されました。とても充実したコンサートに、会場をあとにするお客様も興奮覚めやらぬご様子でした。

(A. N. )

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