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上野優子 ピアノリサイタル 開催レポート
《ココロノヒビキ Vol.3 》
2012年9月21日(金) 19:00開演( 18:30開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 上野優子さんのピアノリサイタル『ココロノヒビキ』の第3回目。全5回からなる本シリーズも、折り返し地点となりました。本日の演奏会にはバロックから近現代に及ぶ色とりどりの作品が用意されました。作曲家と作品ごとに世界観が一変する面白いプログラムです。

 まず、バッハの《平均律クラヴィーア曲集第2巻》〈第16番 ト短調〉が演奏されました。当初の予定ではプログラムに組まれていなかった作品ですが、上野さんはコンクールの審査員を務められた際に《平均律クラヴィーア曲集》の作品を初心に帰るような気持ちで聴き、急遽ご自身の演奏会にも取り上げることに決めたそうです。真摯にピアノと向き合う上野さんのストイックさがよく伝わってくる演奏でした。

 続いて、モーツァルトの《ソナタ 第6番 ニ長調》「デュルニッツ」です。細やかなパッセージの隅々まで意識が通った演奏で、モーツァルトらしいヴィヴィッドな響きもよく引き出されていました。

 前半のプログラムは、今年で生誕150周年を迎えるドビュッシー《ベルガマスク組曲》の〈月の光〉と、《前奏曲集 第一巻》の〈アナカプリの丘〉〈西風の見たもの〉で締め括られました。バロック、古典派と時代を追うようにして聴くと、ドビュッシーが切り開いた響きの鮮やかさが際立ちます。上野さんのドビュッシーは夢想的な世界に走り過ぎないもので、より新鮮に感じられました。

 休憩を挟んで、ラフマニノフの《リラの花》Op. 21-5と《幻想的小品集》Op. 3の〈エレジー〉〈前奏曲〉〈メロディー〉が続けて演奏されました。20世紀を代表するヴィルトゥオーソが作曲しただけあって非常に聞き映えのする作品で、カワイのコンサート・グランドピアノとの相性は抜群です。今日もよく楽器が鳴っていて、お客様も大満足のご様子。

 最後のプログラムは、日本で初めて演奏されるボルトキエヴィチの《ソナタ ロ長調》Op. 9。今日のような甘く哀しいロマンティシズムが光る美しい演奏でこの作品を聴けば、日本の演奏会でまた出会えることを願わずにはいられません。

 アンコールにはドビュッシー《版画》の〈塔〉が演奏され、充実したコンサートとなりました。次回の『ココロノヒビキ』は、来年の4月26日です。お楽しみに。

(A. N.)

  

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