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KSCO 
富岡紀香 ピアノリサイタル 開催レポート
《桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズVol.18》
2012年9月5日(水) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 今晩のコンサートは、桐朋学園を卒業された後、ウィーンで研鑽を積まれたという若手ピアニストの富岡紀香さん。気品漂う音色と丁寧な音楽創りに、その努力の結実を感じます。プログラムにもバッハ、ベートーヴェン、ブラームスと、ドイツ・オーストリア圏の巨匠達の名前がずらりと並びました。

 最初に演奏されましたのは、バッハのフランス組曲第3番。小さな舞曲が集まったこの作品を、富岡さんは真珠の転がるような、軽やかで美しいタッチで演奏されていました。とりわけメヌエットは、聴き手も思わず身体を動かしたくなるような、躍動感がありました。そして音そのものの美しさはもちろんのこと、活き活きとした表情も印象的でした。

 次に演奏されましたのは、ベートーヴェンの数多くあるピアノソナタの中でも最後の方に書かれました第31番。富岡さん自身もプログラムノートで、この作品の解釈に苦労された思い出を語っていらっしゃいました通り、とても難しい作品です。しかしながら、富岡さんはその持ち前の音楽分析力でもって、この作品の魅力が存分に活きるような演奏に仕上げていらっしゃいました。特に「嘆きの歌」と歓喜を噛みしめるようなフーガが交替する第3楽章では、その緊張感と美しさに会場は静まり返っていました。

 休憩後のプログラムは、ブラームスのソナタ第3番。通常ソナタといいますと2〜4楽章で構成されることが多いですが、このブラームスのソナタは5楽章もある大曲で、この曲を弾きこなすためには安定した技術と長時間に耐えうる集中力が求められます。富岡さんの演奏は、各楽章の性格をよく捉えた見事なもので、この作品の時間の長さを全く感じさせないものでした。とりわけ非常に甘美な第2楽章での、楽曲のすみずみまで丹念に磨いた音楽創りは見事で、聴き手をブラームスの世界に没頭させていました。

 アンコールでは、ショパンの<小犬のワルツ>が演奏され、お客様も馴染みのあるメロディーに顔をほころばせていました。富岡さんの熱演を存分に味わうことの出来た、素敵なコンサートでした。

(A. T.)

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