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KSCO
田中克己&田中希代子 ピアノデュオコンサート開催レポート
〜田中克己アンサンブルシリーズ 第2回〜
2012年9月1日(土) 15:00開演( 14:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
9月1日(土)、〈田中克己&田中希代子 ピアノデュオコンサート〉(田中克己アンサンブルシリーズvol. 2)を聴きに、表参道パウゼへ行ってきました。9月に入ってもまだまだ暑く、本日はあいにくの雨模様でしたが、多くのお客様にお越しいただき、会場は大変に賑わっていました。今日の演奏会では、お客様に楽しんでいただこうというお二人の様々な工夫が随所に感じられました。まずは、2台のピアノの配置です。ピアニスト2人が舞台上で向き合う配置がオーソドックスですが、なんとお二人は舞台の中央で逆向きに座られるのです。田中克己さんによれば、パウゼにあった2台のピアノの異なる音質を活かすための音響効果を求めてのことだそうです。
そして、プログラミングと演奏会の進行にも工夫が見られます。本日のプログラムは前半に、オーベール《組曲》op. 6、ラヴェル《耳で聴く風景》《マ・メール・ロワ》、タイルフェーユ《野外遊戯》、マルティヌー《3つのチェコ舞曲》、休憩をはさんで後半に、ドビュッシー《小組曲》(2台ピアノ版)、プーランク《2台のピアノのためのエレジー》、タンスマン《大西洋横断ソナチネ》、ガベーユ《リサイタル急行》の全9曲でした。
お気付きの通り、8人の作曲家のうち7人がフランス人で、唯一チェコ人であるマルティヌーもフランスで学んでいます。また曲間には、作品の解説を含めたトークや、《マ・メール・ロワ》では物語の朗読もあり、そのおかげで曲のイメージや場面・光景を豊かに自由に想像しながら聴くことができました。
いずれの演奏においても、2台ピアノならではの奥行きのあるサウンドを間近に体感することができ、またタイルフェーユ《野外遊戯》やタンスマン《大西洋横断ソナチネ》といった新しく耳にする曲を聴く時には大きな喜びを感じずにはいられませんでした。そして個人的に、本日の演奏会で最も心に響いたのはプーランク《2台のピアノのためのエレジー》でした。お二人の気持ちのベクトルがぴたりと合い、叙情的でフレーズの長い旋律には息を殺して聴き入ってしまいました。
終演後、お客様は終わったばかりの演奏会の感想を交換されており、充分お楽しみいただけたようでした。
(A・H)
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