トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2012年 > 華麗なる PIANO QUARTET > 開催レポート

KSCO
華麗なる PIANO QUARTET 開催レポート
〜 カワイ表参道 室内楽シリーズ 〜
2012年7月3日(火) 19:00開演( 18:30開場)
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

  

 カワイ表参道のサロンスペースで行われる好評の室内楽シリーズ、今回は華麗なるPiano Quartetの登場です。メンバーは、甲斐摩耶さん(ヴァイオリン)、飛澤浩人さん(ヴィオラ)、小川和久さん(チェロ)、稲田潤子さん(ピアノ)。質の高いアンサンブルに期待を寄せて耳の肥えた聴衆がパウゼに集まりました。

 フランス近代ものを集めたプログラム、始まりはドビュッシーです。ヴァイオリン・ソナタでは、大きなフルコンサートグランドピアノから出ているとは思えない小さく繊細でやわらかな音色の前奏に心を奪われました。それに続けて、伸びのあるヴァイオリンの旋律は、筆を動かすような流暢さで音を紡いでいきます。ハーモニーの変化は淡い色のグラデーションのよう。その次のチェロ・ソナタでは、普段あまり耳にしないチェロの音色がさまざまな技法によって演奏されました。ピッツィカート(弓ではなく指で弦をはじく)、ポルタメント(音高を段階的にではなく連続的に変える)、フラウタンド(フルートに似た音色を出す)などを、聴き手は非常に楽しめるのですが、演奏者に求められる技術力の高さを想像するにつけて驚かされます。それらが互いに結び合って1曲のソナタを成すのですから。

 ピエルネというドビュッシーと同年代の作曲家の《弦楽三重奏のための3つの小品》という作品はユニークで興味深いものでした。第1曲は、3人の奏者がそれぞれの主旋律をもち、対位的に音楽を展開していきます。第2曲は「歌」。第3曲はバルザック原作のコミカルなストーリーを表現しています。3曲のこの説明は、演奏の前に飛澤さんがステージでお話しになったもので、そのお話し振りは場の雰囲気を和ませました。演奏は、まるで三人の登場人物が寸劇を演じるかのように、密で含蓄に富んだアンサンブル。弦楽3部とは思えない、あるいは弦楽3部ならではの充実ぶりでした。

 最後は、4人の奏者でフォーレの《ピアノ四重奏曲第2番》を演奏。ピアノが分散和音を荒々しい様子で奏するのをバックに、弦楽器がユニゾンでテーマを奏します。その内容の濃さ、音響の分厚さはオーケストラ並み。曲が進むにつれてメイン楽器が変わるのですが、全体のバランスや入りのタイミングを操っているのは稲田さん。まさにピアノを弾きながら棒を振ってもいるかのようでした。

 本気のアンサンブルを繰り広げる彼ら「華麗なるPiano Quartet」の音楽は本物です。

(T)

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2012年 > 華麗なる PIANO QUARTET > 開催レポート