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KSCO
関野静音&小林 遼 ピアノジョイントリサイタル 開催レポート
東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.18
2012年6月20日(水) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
終演後、恩師の先生方と
東京音楽大学のピアノ専攻生による「東京音楽大学表参道サロンコンサート」の第18回を迎える今回の演奏会に、関野静音さんと小林遼さんが登場しました。お二人とも1年生ながら、華やかな曲目の揃ったプログラムを披露してくださいました。ブルーグリーン色のドレスで登場した関野さんは、最初にシューベルトの即興曲第3番変ロ長調を演奏。奏者の深い息遣いが一つ一つの音に命を与え、生き生きとした音の表情が印象的でした。
バッハ=ブゾーニのシャコンヌ、ピエルネのパッサカリアでは、作品としてはオルガン音楽の背景をもちながらも、ピアノ独自のテクニックや19世紀独特の調性感を打ち出す演奏でした。
最後にラヴェルの《鏡》から〈悲しき鳥〉〈道化師の朝の歌〉を演奏。鳥の啼き声にきこえるフレーズは、聴いている自分が本当に森に迷ってしまったような感覚に陥るほど美しく悲しい音色でした。
道化師を彷彿とさせる音楽の動きには、滑稽な感じでありながら大きなスケール感のある演奏を楽しむことができました。
後半の小林さんの登場には、客席のみなさんが大いに期待している雰囲気でした。第1曲目はベートーヴェンのソナタ第13番変ホ長調。4つの楽章を切れ目なく演奏していき、この曲の根底にある大河のような一本の流れを感じました。
リストの〈ダンテを読んで〉では、冒頭の印象的な音型(下降増4度)をはじめとして、聴いていて驚きや苦しみを感じるほどに描写的で圧倒的な演奏を繰り広げました。
最後の曲目はスクリャービンのソナタ第4番嬰ヘ長調。とてもきらびやかに輝く音作りとともに、独自の世界の中で完結した演奏美を見せてくれました。
喝采の拍手にこたえてお二人がステージに再登場すると、連弾でアンコールを弾いてくださいました。組曲《くるみ割り人形》からの〈トレパック〉は最後に大盛り上がりを見せて、終演となりました。お二人の今後のご活躍が楽しみになる演奏会でした。
(T.)
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