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ドビュッシー生誕150周年記念
中井正子“ドビュッシー紀行”開催レポート
〜ドビュッシーの音楽を背景に中井正子とパリの街を歩く!
「演奏&レクチャー」(全5回シリーズ)〜
<第4章 パリ風景とドビュッシーの音楽>
2012年10月5日(金) 10:30 開演(10:30〜12:30)
講師:中井正子
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 フランス音楽のスペシャリスト中井正子先生による大好評のシリーズ“ドビュッシー紀行”も、残すところわずかとなりました。素晴らしい演奏、楽曲や作曲家についての解説に加え、ドビュッシーゆかりのパリの風景や人物の肖像、絵画や詩なども多数紹介される、聴いて楽しく見て楽しいこの講座。会場は今回も大勢の熱心なお客様でいっぱいでした。

 オープニングはいつもの通り中井先生によるピアノ演奏で、ドビュッシーのファンタジーの世界へと一気に引き込まれます(〈月の光〉、〈音と香りは夕暮れの大気に漂う〉)。ご挨拶の後、まずは美しい写真を通してパリの街をたっぷりとご紹介くださいました。今回はドビュッシーが生涯の多くを過ごしたというセーヌ川の右岸、モンマルトルの丘を上り、サクレ・クール寺院からパリ全体を一望。1世紀前にはドビュッシーがこの街に暮らし、数々の名作を生み出しつつあったのかと思うと、感慨深いものがあります。

 続いては、〈月の光〉についての演奏を交えたレクチャーです。ドビュッシーと言えばこの曲、というほどポピュラーな作品ですが、和声や形式・様式の緻密な理解に支えられた中井先生のお話を通して、その美しさを一層よく感じ取ることが出来ました。

 ドビュッシーの長年の恋人「緑色の眼のギャビー」や最初の妻リリー・テクシエについてのお話、オペラ《ペレアスとメリザンド》や交響詩《海》といったピアノ曲以外の重要な作品の鑑賞を経て、前奏曲〈音と香りは夕暮れの大気に漂う〉についても詳細にお話しいただきました。〈月の光〉の着想の源はフランスの詩人ヴェルレーヌの同名の詩でしたが、こちらはボードレールの詩「夕べの諧調」の詩句からタイトルが取られています。「物憂いワルツ」「ヴィオロン(ヴァイオリン)は鳴る」といった詩中の言葉と具体的な音楽の特徴との関連も指摘され、大変興味深い内容でした。

 短い休憩をはさんで、ドビュッシーの友人の娘でルノワールの名画『ピアノを弾く少女たち』にも登場するイヴォンヌ・ルロルが話題に上り、彼女に捧げられた《忘れられた映像》から第1曲が演奏されました。作曲家の生前には出版されなかった作品ですが、ドビュッシーらしい不思議な魅力を湛えた音楽でした。

 最後にとりあげられたのは、二人目の妻となるエンマ・バルダックとの恋愛の絶頂期に書かれた《喜びの島》と、同時期に作曲された《仮面》です。《喜びの島》については、その作曲に霊感を与えたというヴァトーの『シテール島への船出』、オーケストラ編曲版などに触れたうえで、締めに中井先生ご自身が演奏されました。生命力が迸り、まさに歓喜に満ち溢れるような表現に、客席からは思わず感嘆の声が上がっていました。

 ドビュッシー生誕150周年を記念した本講座も、次回11月9日(金)でいよいよ最終回となります。貴重な機会をどうぞお見逃しなく!

(N.J.)

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