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ドビュッシー生誕150周年記念
中井正子“ドビュッシー紀行”開催レポート
〜ドビュッシーの音楽を背景に中井正子とパリの街を歩く!
「演奏&レクチャー」(全5回シリーズ)〜
2012年5月25日(金) 10:30 開演(10:30〜12:30)
講師:中井正子
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 今年生誕150周年を迎えるフランスの作曲家、クロード・ドビュッシー。その魅惑の音楽とともにパリの街をたどるシリーズ「ドビュッシー紀行」(全5回)が、いよいよパウゼで始まりました。演奏とレクチャーを担当してくださるのは、フランス音楽のスペシャリストで、ドビュッシー・ラヴェルの作品の楽譜校訂や録音にも意欲的に取り組まれている、ピアニストの中井正子先生です。平日の昼間という時間帯もあってか、会場の「パウゼ」はレスナーの方々など女性のお客様で満員に。皆様の関心の高さと講座の人気のほどがうかがわれます。

 シリーズ第1回のこの日は、ドビュッシー初期の作品を中心に。まずは、甘美な世界へと誘うような《夢》で幕開けです。シューマンの有名な《トロイメライ》(ドイツ語で「夢、夢想」の意)と同じ題名、同じ調性(ヘ長調)を持ちながら、まったく異なる作風であるとのご指摘には、なるほどとうなずかされます。

 続いては、ドビュッシーの生い立ち、特に彼がいかにして音楽を始めるようになったのかについて詳しくご解説いただきました。ドビュッシーも学んだパリ国立高等音楽院で研鑽を積まれ、12年間にわたってパリで生活されていたという中井先生。ご留学中、ドビュッシーの義理の娘にあたるドリー(マダム・ド・ティナン)から直接お聞きになったというエピソードも交えながらのお話は、実にわくわくするものでした。

 ピアノの横におかれたスクリーンには、ドビュッシー本人や、彼がパリ音楽院で師事した先生たち、青春期の憧れの人でもあったという美しいマリー・ヴァニエ夫人の肖像等が映し出され、イメージがぐんと広がります。最初期のドビュッシーは、アマチュアの歌い手でもあったヴァニエ夫人のために多くの歌曲を作曲していたとのこと。ピアノ曲の解説にくわえ、ヴェルレーヌの詩に作曲された《パントマイム》、《月の光》や《垣の列》(この曲はピアノのための《ダンス(スティリー風タランテラ)》と旋律を共有しているとのこと)といった歌曲も、併せて紹介してくださいました。

 短い休憩をはさんで、後半は《版画》です。〈塔〉〈グラナダの夕暮れ〉〈雨の庭〉の3曲からなるこの曲集は、それぞれアジア・スペイン・フランスという異なる地域に想をえた色彩豊かな作品。〈雨の庭〉にはドビュッシーの自国フランスの童謡が2曲織り込まれているとのことで、楽譜や音源で原曲と比較しながら、該当するモチーフを一つ一つご指摘くださいました。

 最後は、ドビュッシーの生家のあるパリ郊外のサンジェルマン・アン・レーへの道のりを、写真とお話でたどります。パリや近郊の空気が伝わってくる楽しいお話にすっかり小旅行気分、フランスに行く際にはぜひここまで足を延ばしてみようとその気にさせられてしまいました。もとよりドビュッシーの音楽が大好きな筆者ですが、中井先生のお話と演奏を通してその魅力に改めて開眼した思いです。

 ドビュッシーやフランス音楽のファンはもちろん、ピアノを愛するすべての方々にお勧めしたい中井正子先生の講座、次回6月22日(金)もどうぞお見逃しなく!

(N.J)

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