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浜野与志男 ピアノリサイタル 開催レポート
《2011年 日本音楽コンクール入賞者シリーズ 》
2012年5月23日(水) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 本日パウゼに登場しましたのは、昨年の日本音楽コンクールで見事第1位を獲得された、ピアニストの浜野与志男さんです。楽曲を的確に分析する冷静さと、愛する音楽への情熱を持ち合わせた彼の演奏には、常に心地よい緊張感が漂っており、聴く人の心を掴んで離しません。プログラムには、浜野さんが得意とするロシアもののレパートリーがずらりと並び、ホールには開場前から彼の演奏を心待ちにする方々の姿がありました。

 いよいよ演奏会が始まり、浜野さんが最初のプログラムであるメトネルの『回想ソナタ』を弾きはじめると、あたかもよく磨かれた宝石のように美しい音色に、会場が惹きこまれてゆくのが感じられました。いずれのプログラムも、浜野さんがそれぞれの楽曲の魅力を最大限に引き出そうと、努力を重ねてきたことが伝わってくる演奏でしたが、前半のプログラムでとりわけ圧倒させられたのは、スクリャービンの詩曲『焔に向かって』でしょうか。音の響きが複雑に組み立てられている楽曲ですが、浜野さんが演奏されると、楽譜に書かれた1つずつの音符がさらに拡大され色塗られてゆくようでした。同じくスクリャービンによるソナタ第10番でのトリルの繊細さ、2つの詩曲での美しいペダリング等からは、浜野さんの高い技術が伺えました。また先ほど述べました『回想ソナタ』では、主軸となる旋律が、決して周囲のめまぐるしく入れ替わる音型やリズムに埋没することなく、存在感を放っており、浜野さんの緻密な音楽創りを感じました。

 後半のプログラムは、プロコフィエフによる大作である、ピアノソナタ第8番でした。この後半の演奏は、前半とはまた違う浜野さんの一面を、観ることの出来るものでした。前半の演奏が、ピアノという楽器を最も効果的に扱ったものであったと言うならば、後半の演奏は、ピアノの持ちうる様々な可能性や限界に踏み込むことで、さらにユニークな表現を獲得したものだと言えるでしょう。プロコフィエフならではの粋なリズムや辛辣な響きが、巧みに活かされた演奏に、会場からは大きな拍手が送られました。

 アンコールには、やはり日本で人気のロシア人作曲家ラフマニノフによるプレリュードで、リサイタルは幕を閉じました。浜野さんの音楽への真摯な態度に片時も目が離せない、素敵な一夜でした。

(A. T. )

  

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